どうぞ撃たんといて! この子と生きるき、撃たんといてっ!

(高知県津野町、森部美雪さん)

 1945年6月末の夜、旧満州北安省の開拓集落。生後2カ月の長男を寝かし付けていると、青ざめた顔の夫にライフル銃を向けられた。必死で命乞いをした。召集を受けていた夫は翌日、「こんな所にお前らを残すのは心配でたまらん。自分もどうせ死ぬ。お前らを殺して自分もと・・・」と漏らした。8月にソ連軍が侵攻し、命懸けの逃避行が始まる。食べ物はほとんどなく、夜露にぬれてブヨに刺されながら夜を耐えた。ハルビンから奉天に移った12月、長男は肺炎で亡くなった。

※1994年高知新聞掲載、当時69歳

 終戦から75年。戦争の時代を生きた人たちの肉声を聞く機会は徐々に減り、記憶の風化が加速している。戦後75年企画として、記者がこれまでに取材した戦争体験者の声を紹介する「言葉を刻む」を始める。紙面などに掲載された言葉に改めて着目し、戦争の悲惨さや平和の尊さについて考える。全国の地方紙とも連携する。