新型コロナウイルスの影響で夏の甲子園が中止となり、徳島県独自の大会が開かれると決まった後、各校の主将は話した。「代替大会が開かれることに感謝し、気持ちを切り替えて頑張る」。今大会は甲子園予選の記録には残らないが、選手たちは言葉通り、例年の夏同様に全力でプレーした。

 試合で敗れた3年生の多くは「悔しいけど、やってきたことを試せる場があったのは良かった」と達成感をのぞかせた。「甲子園がなくなっても最後まで続ける姿を後輩に見せられた」と1、2年生への思いを語る選手もいた。

 どの高校もチームづくりに苦心した。休校は3カ月近く続き、練習する期間が短かったからだ。練習試合をこなしながら走攻守を高めようとしたが、ある監督は「実戦練習が不十分だった」と打ち明ける。

 そんな中でも戦力を整えたのが、決勝に勝ち上がった鳴門と徳島商だ。守りのミスが出た試合もあったが、よくまとまっていた。

 県高野連はコロナ感染予防として一般客を球場に入れず、消毒や検温を徹底した上で保護者と控え部員の観戦だけ認めた。敗戦後、涙を流して息子の3年生と抱き合う保護者がいた。小さいときから支え続けた保護者にとっても区切りの夏となったはずだ。

 ある監督は試合後のミーティングで「今年の3年生はかわいそうだったと、ひとくくりにしてほしくない」と話し、選手に「この経験を次のステップにしてほしい」と語り掛けた。

 その通りだ。甲子園という夢を失いながらも、頑張り抜いた3年生と懸命に支えた人たちがいたことを記憶にとどめたい。