徳島県は6日、県内の10~70代の男性11人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。このうち7人は徳島海上保安部(小松島市)の巡視船乗組員で、既に感染が確認された50代男性乗組員2人の同僚。県は計9人が感染した海上保安部でクラスター(感染者集団)が発生したと判断した。海上保安庁によると、保安庁組織でクラスターが発生したのは全国で初めて。サッカーJ2徳島ヴォルティスのMF藤原志龍選手(19)や小松島市教委の50代男性職員の陽性も判明した。県内で感染が確認されたのは累計54人になった。
県や第5管区海上保安本部(神戸市)によると、4、5両日に感染が確認された2人と同じ巡視船の乗組員14人がPCR検査を受け、20~50代の7人が陽性だった。味覚・嗅覚障害や喉の痛み、発熱など全員に何らかの症状が出ていたものの、いずれも軽症とみられる。感染経路など詳しい状況は調査中。
乗組員は船内でマスクを着用し、手指消毒していた。市民と接触する窓口業務は行っていない。7人のうち30代男性1人が北海道などに出掛け、県外の海上保安部の職員2人と会食しており、県は濃厚接触者とみている。
県内でのクラスター発生は、阿南市の通所介護施設「平成デイサービスセンター羽ノ浦」に次いで2カ所目。
ヴォルティスによると、藤原選手は2日に発熱があり、3日にクラブによるPCR検査を受けるなどして陽性が判明した。感染経路は不明。クラブ内に濃厚接触者は2人いる。
小松島市教委の男性職員は徳島市在住。県や小松島市によると、クラスターが発生した阿南市の通所介護施設を利用し、5日に感染が確認された同市の80代女性の息子で、女性が4日に医療機関を受診した際に付き添っていた。市教委では生涯学習課に所属。窓口業務はなく、市民との接触機会は少なかったという。
通所介護施設では新たに、利用者で阿南市の70代男性の感染が判明。クラスター発生を受けて県が要請した厚生労働省クラスター対策班の医師ら2人が来県し、阿南保健所で調査を始めた。
このほか、佐賀県の検査で陽性が判明した感染者の濃厚接触者で、徳島市在住の20代自営業男性の感染が確認された。藤原選手以外の感染者10人の濃厚接触者は知人や家族ら計17人。県は県内在住の15人に対し、検査を行う。
一方、4、5両日に感染が確認された20~90代の男女13人は全員、県内の感染症指定医療機関に入院した。32例目の90代女性の家族2人、33例目の20代女性会社員の友人1人が濃厚接触者として検査を受け、陰性だった。