お薦めホラー映画を4週連続で紹介する「真夏のホラー祭り」の第2弾は「スクリーム」(1996年、ウェス・クレイヴン監督、ネーヴ・キャンベルら出演)。「13日の金曜日」のジェイソン、「ハロウィン」のブギーマンなどのモンスター系殺人鬼を生んだ80年代スプラッター映画のお約束を逆手に取って、ホラーというジャンルを遊び尽くした必見の作品だ。

 

 米国の田舎町で高校生カップルが惨殺される事件が発生。町中が騒然とする中、女子高校生シドニーの自宅の電話が鳴り響き、犯人から殺害を予告される。直後に犯人に襲われた彼女は辛くも難を逃れるが、その後に学校内でも命を狙われてしまう。町で夜間の外出禁止令が出る中、恋人と共に友人宅のパーティーに参加したシドニーは新たな惨劇に直面していく。

 「セックスをしたら死ぬ」「『すぐに戻る』と言ってはいけない」-。スプラッターホラーで幾度となく繰り返されてきたお約束の「死亡フラグ」を登場人物たちの会話にちりばめ、それらを時に踏襲したり、時に裏切ったりしながら、ブラックユーモアたっぷりに描いている。

 

 登場人物の大半が映画好きというのも面白く、会話の端々に映画ネタが飛び出す。特にヒロインの同級生である映画オタクの存在がユニークだ。ホラー映画の中でホラー映画を引用する役回りを務めるメタフィクション的存在であり、そのパターン化された法則をネタにすることで、公開当時に停滞気味だったこのジャンルに新風を吹き込んだ。

 殺人鬼がかぶるハロウィーンマスクも利いている。歴代のモンスター系殺人鬼のキャラクターを特徴付けたマスクの役割を、その正体をカムフラージュする犯人当てミステリー的な仕掛けへと転化してみせている。

 加えて、殺人鬼には生身の人間らしさが強調されている点も新鮮。ヒロインに蹴り飛ばされたり殴り倒されたりと、もみ合い転げ回りながらも執念深く付け狙うことで、その異常性をより一層際立たせている。

 監督は、モンスター系殺人鬼の代表格・フレディを創造した「エルム街の悪夢」シリーズの生みの親ウェス・クレイヴン。80年代のスプラッター映画ブームの一翼を担ったクレイヴン監督自らの自己批判と、慣れ親しんだジャンルへのオマージュから生み出された遊び心満載の作品になっている。(記者A)

【記者A】映像ソフト専門誌編集者、フリーの映画ライターを経て徳島新聞記者を務める。映画関連記事の編集や執筆、インタビュー、ロケ現場の取材などに長年携わり、1年間で365本鑑賞した年もあるなど、映画をこよなく愛する。