30キロの米袋を持ち上げる悠衣さん=徳島市中徳島町2の「しのみや商店」

 ブルーのネイルに、パールのピアス。今どきのファッションに身を包んだ20代女性が、30キロの米袋をやすやすと担ぐ。徳島市で80年以上続く老舗「しのみや商店」(中徳島町2)で、長女の四宮悠衣さん(26)が闘病中の父に代わり、4代目店主と美容師の二足のわらじを履いて奔走している。

 しのみや商店は1934(昭和9)年、四宮米穀配給所として創業した。悠衣さんは現在、祖父母、父、妹と共に米や酒、灯油などを販売、配達している。

 昨年10月、3代目の父義文さん(53)にステージ4の胃がんが見つかった。美容師だった悠衣さんは「店を閉めるのは惜しい。家族5人が生活していくには米屋の収入も必要」と奮起し、今年1月に家業を継いだ。

 週5日だった美容師の仕事を2日に減らし、残る5日を米や酒の配達、精米、農家からの仕入れなどに充てる。父の通院日は病院に付き添い、点滴する2時間の間に配達。点滴が終わる頃に迎えに行き、また仕事に戻る。

 最初は10キロの米袋を持つのも苦労したが、7カ月が過ぎた今では30キロも大して重く感じない。休みのない多忙な日々にも「家族で助け合えるし、美容師の仕事はリフレッシュになるから負担はない」と笑顔だ。

 3月からは写真共有アプリ「インスタグラム」を始め、精米や配達の様子、取り扱う商品などを紹介。「米屋女子」のキーワードで、Tシャツとチラシを作って店をPRしている。今後は米に関する専門知識や経験を有する「お米マイスター」の資格を取得し、新たな顧客や仕入れ先農家を増やすのが目標だ。

 義文さんは「廃業する同業者も多く先の明るい職種ではない。全ての仕事を覚えるのに何年もかかる」と一時は家業を継ぐことを反対したが、今は「厳しい中にもチャンスはある。行けるところまで頑張らなしょうがない」と鼓舞する。

 悠衣さんは「未熟なりに頑張って、父に認めてもらえるような米屋になりたい」と話している。