修復を終え、観音堂に運び込まれる聖観音坐像=徳島市の丈六寺

 丈六寺(徳島市丈六町丈領)の国指定重要文化財「聖観音坐像(しょうかんのんざぞう)」が26日、修復を終えて約2年ぶりに同寺の観音堂に戻った。27日から像本体の安置作業に取りかかる。

 表面の金箔(きんぱく)や漆が剥がれるなど傷みが激しかったため、奈良国立博物館(奈良市)内の工房で修復作業が行われていた。公益財団法人美術院(京都市)の仏師らが、剥がれた金箔や漆を復元せず、剥落止めを施して現状を維持。虫食いがある箇所には樹脂を塗り込むなどして補強した。

 観音像は平安時代末期の作と伝えられ、高さは約3・1メートル。これまでヒノキの寄せ木造りとされていたが、今回の修復作業で、一本の木から彫られた「割矧(わりはぎ)造り」という技法が使われていたことが判明。像を前後半分に割って中をくりぬき、軽量化されていた。

 美術院の陰山修所長は「経年劣化などで変色もひどく、元の色に合わせるのに苦労した」と話す。

 丈六寺では19日から搬入に向けた作業を開始し、台座の取り付けなど順次行った。26日は後光を表す装飾「光背(こうはい)」部分の設置と、観音像の運び込みが行われた。

 豊田靖匡(やすただ)住職(70)は「現在行っている回廊の修復工事が終わり次第、来年4月にも法要を営んで一般公開したい」と話している。

 観音像は1911年に国宝に指定されたが、50年の文化財保護法改正で国の重要文化財に変更された。19年に修復した際に高さ32センチの胎内仏が発見されている。今回の修復は59年以来。