阿波踊りが中止となり、演舞場もちょうちんもない夜景が広がる徳島市中心部=12日午後7時15分、眉山から撮影

 毎年、阿波踊りに沸く徳島市の市街地を見てきた。日暮れとともに、ちょうちんやイルミネーションがともって明るさを増し、踊り連の鳴り物の音が地響きのように聞こえてくる。それが当たり前だった。

 ところが新型コロナウイルスの感染が収まる気配がない今年、眉山から見た街はあまりにも静かだ。演舞場の明かりはなく、街灯や行き来する車のライトが輝くだけで、日頃と変わらない夜景が広がる。徳島駅周辺に立ち並ぶホテルには明かりのともった窓が少なく、そごう徳島店の屋上に掲げられたロゴマークの青い電飾だけが浮かび上がり、寂しさを増しているように見える。

 徳島の夏の代名詞でもある阿波踊り。戦前は戦争や疫病で中止となることはあったが、1946年に復活した後は毎年、踊る阿呆と見る阿呆が思いを刻んできた。

 戦後初めて阿波踊りのない徳島。この光景を撮り残しておく。未来の人々が時代を思い出すきっかけになるように。