徳島をテーマにした全国公募の掌編小説コンクール「第3回徳島新聞 阿波しらさぎ文学賞」(徳島文学協会、徳島新聞社主催)で、大賞の阿波しらさぎ文学賞は蕪木Q平さん(31)=本名高橋久平、横浜市、学童保育児童支援員=の「あまいがきらい!」に決まった。41都道府県から465点の応募があり、最終選考に残った28点の中から選ばれた。
徳島県内在住者と徳島出身者を対象にした徳島新聞賞は、なかむらあゆみさん(47)=本名中村あゆみ、徳島市、主婦=の「檻」が受賞。25歳以下を対象にした徳島文学協会賞は、三浦みなみさん(25)=吉野川市出身、東京都、大学職員=の「去年の桜」になった。
阿波しらさぎ文学賞の「あまいがきらい!」は、新型コロナウイルスの感染拡大により臨時休校になった学校や家族をモチーフにしている。徳島出身の父がお昼ご飯に作る豆玉お好み焼きの甘さが信じられないという小5の少女が、恋や不安を体験しながら活発に生きる姿を追っている。
蕪木さんは「コロナ時代を懸命に生きる子どもたちの声を、かけがえのないものだと感じて表現した。選んでもらい、とても光栄」と喜びを語った。
最終選考委員の芥川賞作家吉村萬壱さんと小山田浩子さんらは「独特の語り口で、極限状態で生きる子どもたちの今をリアルに捉えている。2020年の大賞作品としてふさわしい」と評価した。
最終選考は吉村さんと小山田さん、徳島文学協会の佐々木義登会長(四国大教授)、徳島新聞社の岡本光雄理事が務めた。今年はコロナの影響を受け、ビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」を使って開かれた。
阿波しらさぎ文学賞には賞金30万円が贈られる。徳島新聞賞は10万円、徳島文学協会賞は3万円。
9月12日授賞式 文学トーク開催 一般参加可能
「第3回徳島新聞 阿波しらさぎ文学賞」の授賞式が9月12日午後2時から、徳島市の新聞放送会館で開かれる。
記念事業として、吉村さん、小山田さん、2020年本屋大賞作家の凪良ゆうさんと受賞者が受賞作について意見を交わす文学トークイベントも行われる。新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、作家3人と県外在住の受賞者は、ビデオ会議システム「Zoom」を使って参加する。
誰でも参加でき無料だが、聴講券が必要。問い合わせは徳島新聞社事業部<電088(655)7331>(平日の午前9時半~午後5時半)。
28日付朝刊から作品掲載
「あまいがきらい!」と最終選考委員4人の審査評は28日付、「檻」は29日付、「去年の桜」は30日付の徳島新聞と徳島新聞電子版で、それぞれ紹介します。