大規模改装に伴い四国初出店したチーズタルト専門店。開店早々に長い列ができた=藍住町奥野のゆめタウン徳島

 

郊外型SC 独自色強め集客狙う

 4月20日、大型ショッピングセンター(SC)・ゆめタウン徳島(藍住町)が昨年11月から進めていた大規模改装をほぼ終え、リニューアルオープンした。イオンモール徳島(徳島市)が開業1周年を迎えるちょうど1週間前。勝本忍支配人は県都に現れた巨大ライバル店について、「全く意識していないと言えばうそになるが、それほどしていない」と語った。

 この言葉には、1年目の影響が軽微にとどまったことへの安堵(あんど)とともに、2年目への警戒が見え隠れする。

 ゆめタウン徳島は昨年、売り上げ、来店客数ともに前年を数%下回った。しかし、客足が明らかに減ったのはイオンモール開業直後の1カ月ほど。改装に伴う専門店の一時閉店を考慮すれば、影響はごくわずかだったと捉えている。

 だからといって気は抜けない。徳島経済研究所の元木秀章上席研究員は「大型SCは2年目の方が伸びるとされている」と指摘する。地域での認知度が高まるとともに、店は初年度の実績から強み、弱みを踏まえて販促を強化するためだという。

 ゆめタウンでも徳島市からの来店客が減るなど、買い物客の流れに変化があった。改装を機に、徳島市をはじめとする吉野川以南や県西部からもさらなる集客を目指す。

 今回、全国的なトレンドである食分野を強化し、飲食、物販ともに集客力のある人気店を次々と誘致。キッズスペース、休憩スペースを充実させ、フードコートも拡充を進めている。大規模な改装は2011年11月の開業後初めてで、運営会社イズミ(広島市)が行った。9億円という投資額と内容から本気度が伝わる。

 一方、イオンモールと直線距離で約6キロと比較的近くに位置するフジグラン北島(北島町)は影響が小さくなかった。食品や衣料品などの直営店の売り上げは前年度比5%減だが、専門店を含めた全体では10%減となった。特にイオンモールも備えるシネマコンプレックス(複合型映画館)の客数は半減し、それに付随して飲食店の客が減った。

 01年の開業当初は県内最大規模のSCで、県内初のシネコンを武器に広く集客したが、ゆめタウン徳島、イオンモール徳島ができて優位性はなくなった。

 吉野川以北を商圏と捉え、地域密着路線で生き抜く構えだ。開業から16年、これまで児童の作品展やサークルの発表会、自治体や医師会と連携した健康行事など、館内で地域のさまざまな催しを開いてきた。こうした地域との結びつきを強める。一部商品の年間通じた値下げや買い物客が会計処理をする「セミセルフレジ」の導入も近く予定する。

 紙川希巳典(きみのり)店長は「(イオンモール開業は)強みが何かをいま一度考えるきっかけになった。昨年の反省を生かして地域に根差したSCを目指す」と力を込めた。

 

イオン徳島開業1年 競い合う流通業界 <1>