徳島市の結婚式場と交わした契約に関する書類に目を通す小松島市の新郎新婦。解約金50万円を申し受けると記されている

 新型コロナウイルスの感染拡大で結婚式の中止を余儀なくされた徳島県内のカップルが、高額なキャンセル料を巡って式場とトラブルになるケースが生じている。感染症を理由としたキャンセルに関する規約はなく、新郎新婦側は「不可抗力」を主張して減免を要求。一方の式場側は新型コロナによる経営悪化もあって簡単に応じるわけにはいかず、双方の間にできた溝は埋まりそうもない。

 小松島市の20代の新郎新婦=いずれも会社員=は10月に徳島市で式を挙げる予定で、昨年6月に契約して内金10万円を払った。ところが年明けから新型コロナが猛威を振るい始め、外出自粛ムードが広がった4月に式場に相談すると、3カ月ほど静観するよう促された。

 7月になっても事態は好転せず、式場からは来年への延期を勧められた。しかし、感染が再拡大する中で次第に「式ができるか分からないストレスから早く解放されたい。もう式は挙げたくない」と考えるようになり、8月上旬に挙式を断念した。

 契約書には「申込日から90日が経過して解約する場合は50万円を申し受ける」との記載があり、残り40万円が必要になる。人生の門出となる挙式の計画が頓挫した上、高額なキャンセル料まで求められた2人は「規約があるのは分かる。ただ、社会情勢を考慮してほしい。キャンセルは自己都合ではない」と減額を求めている。

 一方、式場側にも言い分がある。コロナ禍で打撃を受けたのはブライダル業界も同じで、相次ぐ延期や規模の縮小で資金繰りに窮する業者は増えており、「解約金は日程を押さえるためなどに必要な経費。全額免除を認めてしまうと、倒産につながる」と説明する。

 新郎新婦には引き続き延期か少人数での実施を勧めながら、解約を避けられない場合にはキャンセル料を半額にする措置を提案する方針で、「大変なのは分かるが、この業界が厳しいことも知ってほしい」と理解を求める。

 県消費者情報センターには2~7月、結婚式のキャンセル料や日程変更料に関する相談が5件寄せられた。式場との仲介のほか、国や県の補助制度を求める声が多いものの、センターは「ここでは話を聞くことしかできない。契約については当事者間で話し合いをしてもらうしかない」としている。

 消費者問題に詳しい四国大短期大学部の加渡いづみ教授は「感染症は想定されておらず、式場がサービスを提供できる限り客は契約に従わなければならない。ただ、今回は列席者の安全を考えた対応であって自己都合ではなく、双方に落ち度はない。どこでキャンセル料の折り合いを付けるかだ」と話した。