徳島県は21日、県内の20~90代の男女7人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。県内で感染が確認されたのは累計で104人。2月下旬に最初の感染者が確認されてから半年で100人を超えた。今月に入り78人と急増している。この日発表された7人のうち、徳島市の40代女性は徳島大学病院(同市)の看護師。病院は女性が立ち入った区域を消毒し、接触者の特定を進めている。
県や病院によると、女性は入院患者に対応する病棟担当。14、17の両日に出勤した。16日にはせきや咽頭痛などの症状が出ていた。夫の40代会社員は10日から発熱などの症状があり、20日に感染が確認された。県は家庭内感染とみている。女性は軽症で夫は中等症という。
徳島大学病院は感染症指定医療機関。飯泉嘉門知事は臨時会見で「感染症対応は万全を期していると考えている」と強調し、病院の救急や外来は継続されていると説明した。
このほか、クラスター(感染者集団)が発生した特別養護老人ホーム「ライム」(徳島市)に入所する90代女性が5度目の検査で陽性と判定された。阿南市の20代女性は県内96例目の感染者となった徳島市の50代自営業女性の濃厚接触者として検査を受け陽性だった。他の感染者は▽鳴門市の70代男性会社員▽阿南市の80代女性▽徳島市の60代自営業男性。70代男性は中等症で、残りの4人は軽症という。
ライムに勤務する徳島市の50代女性介護士(91例目)の家族5人と、96例目の女性の家族1人、同僚1人がPCR検査を受け陰性だった。
21日時点の入院患者は55人、ホテル療養者は2人。直近1週間(14~20日)の感染状況を「とくしまアラート」の指標でみると▽新規感染者数23人▽感染経路不明割合17%▽確保病床の占有率は全体28%、重症者用4%▽療養者数57人―となっている。
県は医療従事者の滞在用に新たに徳島、阿南、吉野川各市の3ホテルを確保した。期間は10月末までで、予算は1930万円。
医療機関での感染確認目立つ 県「接触者相談センターに連絡して」
発熱などの症状がある患者が医療機関を受診したり救急搬送されたりした後、新型コロナウイルス感染が確認されるケースが徳島県内で目立っている。感染疑い患者の来院は医療機関の負担となり、院内感染のリスクも高まる。県は「疑わしい症状があれば、すぐに受診せず帰国者・接触者相談センターに連絡してほしい」と呼び掛けている。
20日に感染が確認された徳島市の60代自営業男性は19日に発熱や息苦しさの症状があり、救急搬送された。その日は帰宅。20日に再び医療機関を受診し、陽性が分かった。
同市の40代男性会社員は10日から発熱や息苦しさが続いていた。18日にかかりつけ医を受診。CT画像で肺炎症状があることが分かり、20日に抗原検査を受けて感染が確認された。
このほか、発熱や全身倦怠感のため入院した数日後に感染が分かったケースや、救急搬送された病院で検査を受けるまでに別の医療機関を3度受診していたケースもある。
県医師会感染症対策委員長の田山正伸医師は「症状のみで判断するのは難しい。疑いがあれば防御して対応せざるを得ず、医療従事者の負担は大きい」と話す。高齢層に感染の広がりが見られることを懸念し「重症化リスクの高い高齢患者が増えれば、病院にさらに負荷がかかる。周囲に感染させないための行動を取らないといけない」と訴えた。