教員になって36年が過ぎた。小松島中や鳴門第二中などで数学を教え、教頭になった時から小学校に赴任。一貫して義務教育の現場で子どもの成長を見守ってきた。「今日できなかったことが明日にはできるようになる。子どもが伸びる瞬間に立ち会えるのが、先生という仕事の素晴らしいところでしょう」
2020年度から実施される小学校の次期学習指導要領で英語が教科化されるのに先立ち、県内でも本年度から小学3~6年生で英語に触れる「外国語活動」が始まった。授業時数は増え、教員の負担は増す一方だ。「子どものために一生懸命頑張るのは大前提としても、倒れては元も子もない」。教員の働き方改革を最大の課題に挙げる。
とはいえ、自らの歩みを振り返ると胸がちくりと痛む。中学校で働いたころは毎日自宅に仕事を持ち帰り、夜遅くまで授業の準備に追われた。週末はソフトテニス部顧問として指導や引率で家を空ける。「休日返上」は当たり前だった。3人の子の父親として何ができたのかと自らに問えば「反省しかない」。苦い経験を、現場の教員が心身ともに健康でいられる環境づくりに生かすつもりだ。
ポイントに挙げるのは情報通信技術(ICT)を活用した業務の効率化と、管理職の小まめな声掛けによる意識改革。「県内166校の小学校長と密に意見を交わし、判断材料となる情報を発信していきたい」
長女と次女は結婚や仕事で県外へ。小松島市立江町で妻と長男の3人で暮らす。59歳。