夏休み明けは全国的に子どもの自殺が増えるとされている。今年は新型コロナウイルス感染拡大を受けた長期休校や行事の中止・縮小、夏休み短縮などでストレスを抱える児童・生徒の増加が予想され、徳島県内の学校関係者は啓発を強めている。交友関係や学習面、家庭環境などの悩みを抱える若者に、徳島出身の著名人が自身の体験を交えてメッセージを寄せてくれた。

 

四星球・北島康雄さん

 コミックバンドのボーカルをしている現在の活動からは想像できないかもしれませんが、実は僕、教員免許を持っているんですよ。教育実習に行った経験もあって、自分の中では今でも大きな財産になっています。

 僕にとって学校は楽しい場所でした。高校ではバスケットボール部に所属していて、県総体で負けていざ引退という時に「学校にずっといたい」という気持ちが湧いて、先生になろうと決めて鳴門教育大に進みました。

 ただ、大学1年の夏に軽音学部に入ってからはバンド活動にのめり込むようになりました。在学中に四星球を結成して全国ツアーにも挑戦して、ファンの方や音楽仲間ができたことで教師ではなく音楽の道を選びました。

 僕自身はいじめをしたこともされたこともありませんが、今被害に遭って悩んでいる子どもたちには「いじめに立ち向かわなくていい」と伝えたいです。嫌なことに耐える必要はなくて、学校に行くのをやめるなど気持ちが楽になる方法はたくさんあります。

 例えば、夢中になれるものを探すのも一つの方法だと思います。僕にとっては高校時代のバスケや大学時代のバンドです。

 何かに熱中できれば、いじめのようなくだらないことをする人に対して「お前らみたいに暇じゃないから」と大人の対応をすることができて、悪い状況を打破するきっかけになるかもしれません。

 それでも、つらくて全てが嫌になって「何もしたくない」と思う時もあると思います。そんな時は、気持ちを切り替えるために「本当につらい時はこれをする」という行動を、あらかじめ決めておくのはどうでしょうか。

 僕らが昨年制作してライブを中心に披露している「薬草」という歌があります。ここ数年、音楽仲間ががんなどで立て続けに亡くなったことがきっかけで生死について深く考えて「自ら命を絶つ人をなくしたい」という思いから作りました。

 「つらさのどん底にいる人が音楽を聴くのか」という葛藤もありましたが、あえて格好悪い曲に仕上げることで「人生の最後に流れるのがこんなダサい歌だったら嫌ですよね。だから死にたくなったらこの曲を聴いて」という四星球らしいメッセージを込めました。

 この曲を聴くことでも何でも構いません。学校や家庭のことなど、悩んだ時は自分の状況を客観視することが打開のきっかけになるはずです。限界までつらくなっても、自ら命を絶つという最悪の道は選ばないでいてほしいと願っています。

 きたじま・やすお 2002年結成のコミックバンド「四星球」でボーカルを担当。徳島を拠点に全国で活躍し、15周年の17年にメジャーデビューして活動の幅を広げている。37歳。徳島県出身。

 子どもの自殺 内閣府が2015年に発表した自殺対策白書によると、過去約40年間の18歳以下の日別自殺者数は9月1日が突出していた。原因・動機は、小中学生が家庭でのしつけや叱責(しっせき)、友達との不和、高校生は学業不振や進路に関する悩み、うつ病などが多く、長期休暇明けに大きなプレッシャーや精神的動揺が生じやすいと考えられている。徳島県内の20歳未満の自殺者数は15~19年に1~7人で推移しており、9月(速報値)は5年連続で0人だった。今年は7月末時点で4人となっている。

 【徳島県内の主な相談窓口】
 徳島県と県教委は、コロナ禍を受けて自殺予防などの啓発を強化し、さまざまな相談窓口を設置・紹介している。

 ・LINE
  「生徒の心の相談」(友達登録して利用)

 

  公立中高生ら対象
  来年3月24日までの午後6~9時

 ・電話
  チャイルドライン フリーダイヤル(0120)997777
  18歳以下対象
  年末年始除く午後4~9時

 ・その他の窓口一覧
  https://www.pref.tokushima.lg.jp/jisatsuyobou/soudanmadoguchi.html/