徳島県阿南市津乃峰町のカラオケ喫茶「モンレーヴ」で県内の飲食店では初めてとなる新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が確認された24日、利用客から感染拡大を不安視する声が相次いだ。高齢者を中心に常連客が通う他の店も多く、危機感を強める同業者は改めて予防の徹底を口にした。

 普段は日中に高齢者らが訪れ、「昼カラオケ」を楽しんでいるモンレーヴ。この日は「しばらくの間 臨時休業とさせて頂きます」と書かれたボードを入り口に掲示して店を閉めていた。近隣住民によると、22日夜は営業し、23日は店を開いていなかったという。

 店に週1回通う市内の80代男性は、20日昼に友人と2人で訪れた。入店時の検温で平熱だったため、着用していたマスクは外した。居合わせた店員や他の客5人もマスクは着けていなかった。3時間滞在し、3曲を歌った。今のところ体調に変わりはないが「しばらくは外出を控えたい」と不安を隠せない様子だった。

 半年前に店を訪れたことがある市内の60代女性は「客の多くが複数の店を利用している。他店への感染の広がりがないか心配だ」と話した。

 県内の同業者にも動揺は広がった。徳島市のある店では、消毒や換気などの対策は小まめにしているものの、来店客の名簿は作っていない。客はマスクを着用せずに歌っており、70代女性店主は「これからは着けてもらうようにする」と話した。

 阿南市の別のカラオケ喫茶を経営する60代女性は「急に店を休んだら(感染者が出たと)誤解されてしまう」と店を開けた。

 感染予防には念を入れている。窓を開け、お立ち台の前に透明の仕切り板を置き、1曲歌い終えるごとにマイクは消毒。店内ではマスク着用を促して客名簿を作り、閉店時間を午後10時から同5時に早めた。「常連さんにも、より一層の注意を促したい」と気を引き締めている。