「面劇」の面や衣装。石井町の有形民俗文化財に指定される=同町高川原

 石井町教委は、人形浄瑠璃の頭(かしら)を模した面を付けて上演する大衆芸能「面劇」の面や衣装など関係資料237点を、町有形民俗文化財に指定する。県内唯一の演者で、同町浦庄出身の花之家花奴(はなのやはなやっこ)さん(本名岩佐伊平、1901~95年)が使用していたもので、同町内に住む子孫が残していた。指定は6日付。

 面劇は、全国では面芝居や面浄瑠璃芝居とも呼ばれ、江戸時代後期から昭和期にかけて流行した。花之家さんは20歳すぎから歌舞伎役者として全国を巡業していたところ、仙台市で面劇演者と出会い弟子入りして習得した。40代初めに徳島に戻り、面や衣装の早変わりを取り入れた独自の一人芝居として昇華させた。

 昭和中期まで県内各地の祭りなどで上演されていたが、後継者がおらず、民俗芸能としての継承は途絶えている。

 文化財に指定されるのは面101点、衣装71点、三味線や編みがさなど小道具39点、「傾城阿波の鳴門」「義経千本桜」など浄瑠璃の外題を記した床本や公演記録などを含む記録資料26点。

 面のうち約6割は、名工として知られる人形師・天狗久(1858~1943年)の手によるものと考えられ、保存状態も良好。衣装は袖と前面のみで、肩部分に針金を仕込んだ特殊な作り。着脱しやすく、早変わりのための工夫がなされている。

 町教委は「阿波藍で栄えた土地柄に根ざした人形浄瑠璃の隆盛に伴い、地域に花開いたユニークな大衆芸能を伝える貴重な資料だ」と評価し、指定することを決めた。

 年内をめどに、資料の一部の一般公開を検討している。