価格の安いジェネリック医薬品(後発薬)の普及を目指す厚生労働省が、後発薬の使用が進んでいない都道府県を「重点地域」として指定する。膨張する医療費に歯止めをかける狙い。今夏までに10都道府県を選び、啓発活動などの実施を促す。
後発薬は、新薬の特許が切れた後に同じ有効成分を使って製造された薬。研究開発のコストが抑えられるため、新薬の半額程度の価格で販売されている。
高額な新薬が次々と登場し、医療費の中でも薬剤費の伸びは目立つ。政府はこの費用を抑制するため、2020年9月までに後発薬の使用割合を80%とする目標を掲げ、使用促進に力を入れてきた。その結果、17年の後発薬の使用割合は約66%と、約33%だった05年の2倍に。厚労省の推計では、15年度は後発薬使用により約9400億円の医療費が削減された。
厚労省はさらなる普及のため、10都道府県を重点地域として指定し、改善を促す。使用割合の低さだけでなく、人口の多さや医療費の規模の大きさも考慮する。直近の使用割合が最も低い徳島県(61・3%)のほか、東京都(65・2%)、大阪府(66・6%)などが候補に挙がっている。
厚労省は本年度予算に約9千万円を計上、指定した都道府県に補助金を交付する。なぜ普及が遅れているか問題点を調査し、後発薬への理解を深めてもらうためのポスター作成や、医師と薬剤師が連携する仕組み作りなどに取り組む。同省の担当者は「各地の実情に応じたアプローチで使用を促してほしい」と話している。