シャッターが下りるのを見届け、涙ぐむ元従業員ら=31日午後7時半、そごう徳島店

閉店時間が近づき、大勢の買い物客でにぎわう地下食料品売り場=午後6時ごろ、そごう徳島店

 たくさんの思い出をありがとう―。「県都の顔」として徳島県民に親しまれてきたそごう徳島店が営業最終日を迎えた31日、大勢の買い物客や元従業員らが店に詰め掛け、別れを惜しんだ。感謝、ねぎらい、追想・・・。一つの時代が終わりを告げたことを感じてか、閉店時には思い出に浸りながら感極まる人の姿もみられた。一方、そごうがあった区画を埋める核テナントが明らかになっていない現状に、近隣の店主らは懸念を口にした。

 営業終了の午後7時半、別れの瞬間を見届けようと常連客らが2階正面玄関周辺を埋め尽くした。ゆっくりとシャッターが下りる中、従業員8人が深々と頭を下げると、「ありがとう」と大きな声が何度も響き、拍手が鳴りやまなかった。

 涙を拭っていた板野町のパート従業員(52)は「高校時代以来、ずっとお世話になってきた店員の皆さんにお礼を伝えたかった。そごうで楽しんだ思い出を宝物にしたい」。

 日中に訪れた人はセール品を求めたり、記念撮影をしたりして名残を惜しんだ。

 徳島市の国家公務員(54)は「自分へのご褒美だけでなく、家族や親戚への贈り物もそごう。なんといっても包装紙がステータスだった」。徳島市の主婦(38)は「自分が生まれた翌年にオープンし、一緒に年を重ねた。子どもの頃は服を買ってもらったり食事したりするのが楽しみだった」と懐かしんだ。

 そごうの元従業員も込み上げる思いを胸に駆け付け、約50人が思い出話に花を咲かせるなどした。「お得意さまから『娘をもらってくれ』と声を掛けられたことが忘れられない」と言うのは、スポーツ用品などを担当していた男性(60)=阿波市、道の駅どなり館長。「そごうのブランドを信頼してもらえていた証し。憧れだった職場で過ごせた20年間は誇りであり財産」と声を詰まらせた。

 社員1期生で約30年勤めた女性(56)=徳島市、会社員=は有名衣料品ブランド・ラルフローレンの店長を任され、売り上げの伸び率が前年比で全国トップになった30代後半ごろが「一番輝いていた」という。「自分の力ではなく、店を応援してくれたお客さんのおかげ。そごうで働いて本当によかった」と話した。

 閉店後を不安視する声も聞かれた。徳島市一番町で和食居酒屋を経営する男性(31)は「核テナントの空白期間が長くなれば、そこで働く人の飲食需要も消えたままになる」。