今後30年以内に70~80%の確率で発生するとされる南海トラフ巨大地震。発生する恐れが高まった場合、気象庁が発表するのが「南海トラフ地震臨時情報」だ。津波が襲う沿岸部などでは1週間程度の事前避難が求められるなど、暮らしに大きな影響が出る。地震が起きる仕組みと臨時情報が発表されるまでの流れや内容、住民が取るべき行動を徳島地方気象台や徳島県などに聞いた。

■南海トラフ地震の特徴

 南海トラフは、静岡県沖の駿河湾から九州の日向灘沖にかけて海底に延びる溝状の地形のことをいう。この溝は、地球の表面を覆う何枚ものプレート(岩板)の境目に当たり、海側のプレートが西日本を乗せた陸側のプレートの下に潜り込むように年間数センチ動く。

 陸側のプレートは、海側のプレートに引きずられて徐々にひずみを蓄積する。ひずみが限界に達するとプレート同士が強くくっついている境界面が壊れ、地震が起きる。元の位置に戻ろうとする陸側のプレートが海側に跳ね上がった際、海水を持ち上げて津波を引き起こす。

 南海トラフでの地震は100~150年ごとに繰り返し起きている。地震発生の仕方は多様で、駿河湾から四国沖まで広い範囲で同時に起きた1707年の宝永地震のような場合もあれば、東側と西側で時間を置いて発生したケースもある。

 直近2回の地震はいずれも東側で先に発生し、1854年の安政東海地震では32時間後、1944年の昭和東南海地震ではその2年後に、それぞれ西側で同規模の地震が起きた。東西どちらかで大地震が起きた場合、残りの地域で後発の地震が時間差で起きる恐れがある。

 徳島県自然災害誌(県発行)によると、46年の昭和南海地震は紀伊半島沖で発生し、マグニチュード8・0を観測。県内では県南を中心に津波が襲い、死者・行方不明者202人、全壊・流出家屋1015棟以上の大きな被害があった。

 「南海トラフ地震臨時情報」はこの特徴を生かし、後発の地震が起きる恐れのある地域に対して事前避難などを促して防災・減災につなげるのが狙い。平時より発生の確率が高まったことを伝えるもので、発生を予知する情報ではない。