「県都の顔」として親しまれたそごう徳島店が閉店した翌日の1日、入居していた徳島市のアミコビルではフロア改装やテナントの再配置が始まり、残った店舗の一部が営業を続けた。前日までのにぎわいから一転、静けさに包まれたものの、店主らは「ポストそごう」の活性化に向けて決意を新たにした。

そごうが入っていたアミコビル東館は、フロアの大半がパーティションで覆われ、テナントの撤収や改装などが急ピッチで進んだ。紀伊國屋書店やロフト、無印良品などの既存テナントが入る7~9階では、そごう閉店前とほぼ同じ環境で営業が続けられた。

地下1階の食品売り場では2店舗が営業を継続し、約15店舗が16日以降に順次再開する。

一時休業し、掃除していたおこわ専門店の工藤悠史店長(27)は「多くの常連客から『店を閉めないで』と言われ、残ることにした。励ましに応えるためにも、一層おいしいおこわを提供したい」と意欲を示した。
ただ、姿を変えたビル内に戸惑う人も見られた。「白い壁に覆われて迷路に迷い込んだみたい」と言ったのは、近くに住む女性(72)。「そごうができてから他店で買い物をしたことがない。日用品や衣服もどこで買えばいいのか。以前のように多くの店が早く営業してほしい」と求めた。

大半の店舗が営業を続けたアミコ専門店街では、東館とつなぐ通路がシャッターで閉ざされた。徳島市の女性(80)は「そごうから流れてくる客がいなくなる分、寂しくなるのはやむを得ないだろう」としつつも、かつて地下食品売り場で働いていただけに「愛着が深いこの場所を応援できれば」と話した。

「ポストそごう」に向けては、専門店街で30年以上花店を営む市原公夫さん(60)が「石けんや樹脂を使った造花など、付加価値のある商品をもっと扱って店の個性を出す。リピーターを増やし、ビル全体を活気づかせたい」と意気込んだ。
