衆院選が公示された10日、徳島県内の小選挙区には、1区に山本千代子さん(共産新)、後藤田正純さん(自民前)、仁木博文さん(希望元)、2区に久保孝之さん(共産新)、山口俊一さん(自民前)、福山正敏さん(幸福新)の計6人が立候補を届け出て、選挙事務所前などでの出陣式に臨んだ。
突然の解散や野党再編で混乱が続く中での短期決戦。
有権者は、5年近くにわたる安倍政治にどんな審判を下し、どんな政権の枠組みを選択するのか。
秋晴れの下、第一声を上げた各候補者は、支持者らの声援を受けて選挙カーに乗り込み、消費税増税の是非や北朝鮮対応、憲法改正を巡るそれぞれの主張を繰り広げた。
〈1区〉
◎山本千代子陣営
午前8時半から徳島駅前で出発式。選挙カーの上でマイクを握った共産党県委員会の上村秀明委員長が「憲法をないがしろにする安倍政治をこのまま続けさせて良いのか。対抗し、新しい政治を実現する」とアピールした。
山本さんは「加計(かけ)、森友学園問題を隠した衆議院解散に大義はなく、安倍政治は国政を私物化している」と批判。「戦争をさせないためにも、安保法制に反対し、憲法9条を守る政治にしていく」と熱弁を振るった。演説後は集まった支持者らと固く握手を交わし、「頑張って」と声援を受けながら、選挙カーに乗り込んだ。
◎後藤田正純陣営
午前9時半から徳島市問屋町の選挙事務所前で開いた出陣式には大勢の支持者が詰め掛け、壇上には選挙区内の県議や市町村長ら25人が並んだ。
朝田啓祐後援会長が「日本の安全安心を守るためには安定した政権が必要だ。皆さまと一緒に勝利の喜びを分かち合いたい」とあいさつ。中西祐介、三木亨両参院議員らも激励の言葉を述べ、支持拡大を呼び掛けた。
後藤田さんは「日本を支えているのはわれわれ地方だ。東京一極集中に対抗するため、常に国民、県民目線に立ち、少子高齢化や子育て支援などの課題解決に取り組んでいく」と、力強く第一声を上げた。支持者と握手を交わした後、選挙カーに乗り込み、徳島市内を駆けた。
◎仁木博文陣営
「希望の党」と書かれたのぼりやパネルが並ぶ徳島市南田宮2の選挙事務所で午前8時半から出陣式を開いた。選対本部長を務める庄野昌彦県議が「国民に目を向けない『安倍1強体制』を変えるためにも、私たちの代弁者として仁木さんを国会に送り出さないといけない」と訴えた。連合徳島の森本佳広会長や、元参院議員の乾晴美後援会副会長らもマイクを握り激励した。
党名の入ったたすきをかけた仁木さんは「頑張っているのに、日々の生活で精いっぱいの人たちのための政策を打ち出す。日本の政治をリセットし、希望をつくりたい」と強調。大きな拍手に送られて壇を降りると、支持者から「頑張って」「当選してよ」とエールが送られた。
〈2区〉
◎久保孝之陣営
午前9時から吉野川市鴨島町の選挙事務所の隣接地で出陣式を開いた。共産党県委員会の古田元則書記長が「野党と市民の力で自民党に対決し、今の日本を変えたい」と支援を呼び掛けた。
前回衆院選に続いて国政選挙に挑む久保さんは「安全保障法制は直ちに廃止し、憲法を守る政治が必要だ」と強調。「安倍政権の暴走政治をストップさせて新しい政治を作るために、多くの国民のみなさんと力を合わせたい」と声を張り上げた。この後、支持者一人一人と握手を交わし、選挙カーに乗り込んで街頭演説に出発した。
◎山口俊一陣営
藍住町奥野の商業施設駐車場で午前8時半から行われた出陣式には、選挙区内9市町の首長が姿を見せた。中西祐介、三木亨両参院議員や長尾哲見公明党県本部代表らが、節目となる10回目の当選に向けてエールを送った。
沖縄北方担当相などの要職を歴任した実績と経験をアピールし、前回の8万5千票以上を狙う。樫本孝選対本部長は「人口減少対策や経済発展は、安定した政治家と自公政権の下でしか実現できない」と強調した。
山口さんは「野党が星雲状態の中、政党政治の意味が問われる選挙だ。政権運営への批判も承知しており、見直しながら進める」。社会保障の充実や地方創生の継続を訴え、街頭に飛び出した。
◎福山正敏陣営
午前8時半から藍住町東中富の事務所で開いた出陣式では、竹尾あけみ後援会長が「まだまだ党の主張を知らない人が多い。精いっぱい訴えを広げていきたい」と気勢を上げた。
福山さんは「幸福実現党は8年前の立党以来、政策がぶれない。自分の国は自分で守り、消費税を下げようと言い続けている」と力を込めた。出席者全員で「エイエイオー」を三唱。福山さんは支持者とがっちりと握手を交わした。