徳島県は10日、マダニが媒介するウイルス感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」に、県内の40代男性が飼い犬を介して感染、発症していたと発表した。県によると、犬からの感染確認は世界初。男性と犬は既に回復している。

 男性は飼っている中型犬(4歳、雌、雑種)の体調が優れないため、6月3日に県内の動物病院を受診。軟便や血便、発熱などの症状があり、山口大の検査を経て同下旬、SFTSと診断された。

 男性も同中旬に38度台の発熱や嘔吐、下痢の症状が出たが1週間ほどで回復。動物病院と山口大が因果関係を疑い、9月に入って国立感染症研究所が男性の血液を調べた結果、感染していたことが9月下旬に判明した。

 男性にマダニにかまれた痕はない。犬にかまれてもいないが、看病する際に手で餌をやるなどしており、ウイルスに汚染された唾液や便を介して感染した可能性がある。

 犬は室内で飼育しており、散歩で外出した際にマダニにかまれたとみられる。県によると、犬の発症が確認されたのは国内初。

 SFTSは国内で2013年に初めて患者が確認されてから全国で303人の患者が報告され、うち59人が死亡。県内でも23人が感染し7人が亡くなっている。哺乳動物からの感染確認は珍しく、昨年、野良猫にかまれた西日本の50代女性が死亡したのが初めての感染事例で、今回が2例目。

 県は「発症していない犬や猫からの感染は心配ない」とした上で、同じ布団で寝るなどペットとの過剰な接触に注意を呼び掛けている。相談窓口は県動物愛護管理センター〈電088(636)6122〉。