練習再開後、チームメートと並んで素振りする柿原スポーツ少年団のメンバー=阿波市の柿原小

練習後にヘルメットなどの用具を消毒する藍畑ファイターズの選手たち=石井町の藍畑小

 「第61回徳島新聞社こども野球のつどい」(県軟式野球連盟、県スポーツ少年団、徳島新聞社主催)は12日、鳴門市営球場など4会場で104チームが参加し開幕する。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、長期の活動自粛や独自の対策を余儀なくされた各チーム。困難を乗り越え、本番の日を迎えた選手たちの姿を追った。

 スマートフォンの画面の中で練習着姿の少年が坂を駆け上る。映っているのは美馬市のSC美馬ベースボールクラブの西岡大誠主将(11)=美馬小6年。自宅では浮き輪の上で素振りして体幹を鍛えている練習場面の動画を家族に撮ってもらい、通信アプリでチームメートに紹介した。

 「仲間がまねできるような練習を意識して動画にした。自分が精いっぱいやっている姿を見せれば、離れていてもチームを引っ張っていけると思って」。チーム練習を自粛し、個々で自主練する仲間を励まそうと取り組んだ。

 3月、各チームは県学童軟式野球連盟の要請で練習や対外試合などの活動を一斉に自粛。その後の国の緊急事態宣言発令もあり、活動休止は5月まで及んだ。

 長期の自粛は選手の心身に深く影響した。自主練習のためコンディション調整がうまくいかず、肩や脚などを故障する選手が続出。県西部のあるチームでは野球への意欲を失い、退部する選手もいたという。

 鳴門市内の2小学校の合同チーム、鳴門第一・堀江北連合の主将を務める鳴門第一小6年佐竹京君(12)は「仲間が練習できているか、元気でいるかと不安になる時もあった」と当時の心境を打ち明ける。

 各チームは通信アプリなどを活用し、会えなくてもコミュニケーションを欠かさない工夫を重ねた。

 自粛期間が明け、チーム練習が再開されると、現場の感染対策が課題になった。多くのチームでは監督らコーチ陣が、手指の消毒液やハンドソープなどをひとまとめにした感染防止セットを携帯、常備している。練習前の検温は欠かさず、飛沫防止のため、練習の合間の飲食は選手同士で向かい合わずにするなどの予防策も施す。

 藍畑ファイターズ(石井町)では、選手が自主的にキャッチャーマスクやヘルメットなどの用具の消毒作業をしている。当初は怠る選手もいたが、今では練習前のストレッチのように毎日のルーティンとして定着した。主将の藍畑小6年廣常虎輝君(11)は「やっぱりチームでの練習は楽しい。続けていけるよう自分たちで意識しないと」と気を引き締める。

 国府少年野球クラブ(徳島市)は保護者間で議論し「withコロナで始める新しい少年野球スタイル」と題した独自の感染対策ガイドラインを作成した。水分補給のマイボトル化や送迎時の車内換気の徹底など9項目。保護者会の森東美和さん(44)は「子どもたちに、大好きな野球に思う存分打ち込んでもらうため、不安を少しでも和らげたかった」と話した。

 「つどい」を「自分たちにとっての甲子園」と位置づける選手は多い。春以降の主要大会が次々とキャンセルされた中、今大会は特に高学年にとっては最後の大舞台になるかもしれない。佐竹君は「野球ができる喜びをこれまで以上に感じている。苦しい時期に仲間と積み重ねてきた全てを出し切りたい」と健闘を誓う。