徳島県内の新型コロナウイルス感染状況は、「第2波」が到来した7月下旬から一気に悪化した。感染者は8月だけで100人を超え、四国最多となった。今月に入り増加傾向は弱まりつつあるものの、今後の見通しは予断を許さない。クラスター(感染者集団)の発生、死者の増加、相次ぐ感染経路不明者に県などはどう対応してきたのか。7、8月の感染拡大を振り返り、備えを考える。

 「徳島は全国でも三指に入る、(新型コロナウイルスの)感染者数が少ない所だ」。7月9日、飯泉嘉門知事は会見でこう強調した。

 ところが8月、状況は一変する。4日に県内で初めて2桁の感染者が確認され、阿南市の高齢者施設でクラスターに発展。以降も三つのクラスターが相次ぎ、累計感染者数は一気に3桁に達した。

 県はクラスターの拡大を防ぐため、濃厚接触者らの特定や県民への啓発といった対応に追われた。「感染者の増加ぶりに、緊張感が増した」。県危機管理環境部の坂東淳副部長は振り返る。

 増加の兆候は7月にあった。24日、感染者が15日ぶりに確認されると、8月1日まで連日発生した。仕事で県外へ出張した人や帰省者ら、県外で感染したとみられる人以外に、感染経路の分からない人が少なからずいた。

 「全国的に感染が拡大する中、人の移動に伴って地方にも少し遅れて広がった」。県新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の西岡安彦座長(徳島大学病院呼吸器・膠原病内科長)はそうみる。

 4月上旬ごろをピークとする「第1波」が収まり、都道府県境を超えた移動が解禁された6月以降、東京都を中心に感染者が再び増加傾向となった。7月中旬には1日の感染者が東京都で300人、大阪府で100人を超えた。

 ビッグデータを分析すると、徳島でも人の移動が活発になっていた。NTTドコモのモバイル空間統計によると、感染拡大前(1月18日~2月14日)と比較した徳島駅前の午後3時の人出は、自粛が呼び掛けられたゴールデンウイーク中が50~60%減。5月14日に徳島など39県の緊急事態宣言が解除されて以降は徐々に回復し、7月17日には0・4%減と、同水準になっている。

 県外からの人の流れも増加した。政府の地域経済分析システム「V―RESUS(ブイ・リーサス)」によると、徳島駅前の県外在住者の滞在人口は、5月第2週に前年同週比97%減で底を打った後に上向き、7月第4週には前年同週を上回った。こうした人の往来がウイルスを運んだとみられる。

 第1波で徳島の感染者が少なかったことが、気の緩みにつながったとみる専門家もいる。

 県医師会感染症対策委員長の田山正伸医師は「県民にとって新型コロナは身近なものではなく、『徳島はまだ大丈夫』という安堵(あんど)感があった。気を付ける度合いが人によって異なり、忠実に感染対策を講じる人もいれば、少し緩んでいる人もいたのではないか」と指摘する。

 県によると、感染者の中にはマスクを着用していなかったり、発熱などの症状があっても外出したりした人もいた。9月16日時点の感染者は累計147人で、そのうち感染経路不明者は27人。クラスター以外では、無症状や軽症で自覚のない人が媒介して感染が広がった可能性がある。

 四国の他3県で8月の感染者は高知35人、香川32人、愛媛25人で、徳島が突出して多い。飯泉知事は9月1日の臨時会見で8月の感染拡大を振り返り、「感染の第2波といっても過言ではない」との認識を示した。その言葉には感染拡大前のような力強さはなかった。