募金活動に取り組んだ城北高校生=徳島市内

 安倍晋三前首相が突然退陣を表明し、次期首相候補への関心が高まっていた8月30日、徳島新聞朝刊の片隅に小さな記事が載った。見出しは「フードバンクに城北高生が寄付」。いろんな団体などの寄付はよくある話だが、記事には、クラスメート4人が徳島駅前で募金活動を行った、とあった。新型コロナウイルスでさまざまな活動が自粛される中、高校生が街頭に立った理由とは。

 4人は、城北高校2年の川嶋悠理愛さん、藤原朱李さん、福田真結海さん、濱田瑛さん。

 きっかけは、新聞記事だった。8月2日、NPO法人フードバンクとくしまが生活困窮者に提供している食料が前年同期の4倍近くに上っている―。そんなニュースが、徳島新聞朝刊に掲載された。コロナの影響で、収入減や学校休校に伴う新たな需要が生まれたことなどが要因とあり、ひとり親家庭の母親や児童養護施設の関係者の話などが記されていた。

 この記事を見た生徒の1人が「ご飯も食べられずに困っている人がいる。不公平ではないだろうか」と思った。自分たちに何かできないかと考えたのが、募金活動だった。クラスメートだった他の3人に声を掛け、とんとん拍子に進んだ。

 さっそく街頭で呼び掛ける際のポスターを作成した。「新型コロナウイルス 子ども達に支援を」「フードバンクとくしまを応援します」などと書き、きっかけとなった新聞記事を貼った。

 4人は夏休み中の8月16日、午後3時から徳島駅前に並んだ。ポスターを掲げ、募金箱を持って。「最初はどきどきしましました」と振り返る。思い切って声を出した。「ご協力をお願いしまーす」

 道行く人が、1人、2人と、寄ってきた。中には千円札を募金箱に入れる人も。連日の猛暑で、この日の徳島市の最高気温は37・7度を記録。こぼれる汗を拭きながら3時間続けた。客待ちのタクシードライバーからは「暑い中、ご苦労さんやな。頑張って」と励まされたという。

 「5千円くらい集まればいいかな」と想像していた募金額は、約2万5千円に上った。全額をフードバンクとくしまに寄付した。

 生徒は「徳島の人たちの優しさに感動しました」「みんなで支え合う温かさを感じました」と話した。フードバンクとくしまへの支援活動は続け、9月22日にも自宅で眠っていた食料を持ち寄って手渡した。

 長期間休校となるなど高校生にとっても厳しい環境が続く。生徒は言う。「今まで当たり前だった生活のありがたさを感じます」「コロナの影響で、社会の格差がこれまで以上に大きくなっているのではないでしょうか。誰もが、いつどうなるか分かりません。助け合える社会であってほしいと思います」

 コロナ禍で失ったものは多い。でも、気付いたこともある。