近年、自然災害が頻発している。大切な家族の一員であるペットのためにも、飼い主は防災準備を考えておきたいところ。徳島県動物愛護管理センター主任主事、川田麻里絵さんの話を基に、県内の状況や飼い主に求められる日頃の備えについて紹介する。

 2011年の東日本大震災では住民が緊急避難となり、多くのペットが自宅に取り残され、飼い主とはぐれて放浪した。飢餓で衰弱死したり、野生化して人に危害を与えたり、繁殖して既存の生態系を壊したりするケースが発生。環境省は13年に災害時のペット対策をまとめたガイドラインを作成し、飼い主に対して、自身の安全を確保した上で、ペットと「同行避難」するよう推奨している。

 同行避難とは屋内で同伴できる「同伴避難」とは異なる。盲導犬などを除き、基本的にはペットを飼い主と同じ居住スペースには持ち込めない。屋外などに別スペースが設けられ、ケージでの生活が中心になる。

 県内では4万頭以上の犬が登録され、4世帯に1世帯は犬か猫をペットとして飼っているといわれる。

 避難所は管理する自治体や災害規模で変わる。県内では18市町村が「避難所運営マニュアル」にペット対策を記載している。しかし、ペットの受け入れ可能な避難所があるのは11市町村にとどまる。全避難所で受け入れ可能とするのは藍住町、佐那河内村、阿南市のみで、「全く受け入れできない」市町もある。

 川田さんは「飼い主はまず自分の住む地域の情報を自治体で確認してほしい。その上で、知人宅に一時預けるなど、さまざまな可能性を想定しながら準備してほしい」と言う。

 災害対策で最も大切なのが飼い主の日頃の備え。まずは所有の明示を徹底すること。人に慣れたペットも突然の災害で驚いて逃げることがある。保護時に飼い主の元に戻れるよう、普段から首輪と迷子札をつけよう。外れる心配のない身元証明のマイクロチップもお薦め。現在、県内のチップ登録数は約1万1000頭にとどまる。希望する場合は獣医師に相談しよう。

 次に「しつけ」。日頃からケージの扉を開けた状態で部屋に置くなどして慣らしておこう。スムーズに連れ出すことができ、ケージ生活が中心になる避難生活のストレス軽減につながる。また▽むやみにほえない▽知らない人や他の動物がいても落ち着いていられる―ようにしておくといい。

 避難所には多くの動物が集まる。非常時は衛生・栄養状態が悪くなり免疫が低下しやすい。普段から寄生虫駆除や予防接種など感染予防対策は必須。特に狂犬病予防接種(犬)は避難所の受け入れ条件でもある。

 日頃の備えと冷静な避難行動が自分や家族だけでなくペットの命を守り、2次被害防止にもつながる。環境省のサイトにはペットの災害対策情報<災害、あなたとペットは大丈夫? 人とペットの災害対策ガイドライン(一般飼い主編)<http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h3009a.html>がまとめられている。事前に確認しておけば、緊急時も落ち着いて行動できるだろう。