昨年9月23日~10月9日に徳島市中心部で開かれたアニメの祭典「マチ★アソビvol.19」の来場者約8万3000人(主催者発表)が買い物などで使った金額は約9億5000万円で、県内への経済波及効果は約7億3000万円だったことが、県などでつくるアニメ映画祭実行委員会のまとめで分かった。来場者や参加事業者の満足度が高く、地域や経済を活性化するイベントとして定着する一方で、徳島市以外やマチ★アソビ期間以外の集客にどう生かすかが課題となっている。
調査は、vol.19のメイン期間だった10月7~9日に、来場者1584人と、出店した飲食店など31事業者から対面による聞き取りなどで回答を得た。経済効果は、来場者1人当たりの消費額から来場者全体の消費額を推計した。
消費額約9億5000万円のうち、県内での宿泊や交通、飲食、土産物購入などに伴う直接効果は約5億円。このほか、原材料費などの1次波及効果が約1億4000万円、雇用者による消費などの2次波及効果が約9000万円となっている。
来場者の年代は、20代が41・4%で最も多く、次いで30代28・7%、40代13・9%。居住地は県外57・9%、県内41・3%で、県外の若者を呼び込むのに成果を挙げていた。宿泊の有無では、日帰りが62・9%と多かったものの、宿泊も36・7%いた。
来場回数は、初めてが22・3%で最も多かったが、52・2%が4回目以上で、このうち10~19回も18・8%いた。次回以降の参加意向は、「ぜひ参加したい」「できれば参加したい」を合わせると94・2%に上っており、高い満足度でリピーターを獲得していることがうかがえる。
飲食などで出店した11事業者の満足度は、「大変満足」「やや満足」を合わせると54・6%、「ふつう」が27・3%、「やや不満」が18・2%。会場周辺の10事業者への影響では、客が増えるなど「プラスの影響が大きかった」が70%、「全く影響を受けなかった」が30%だった。
加盟店で飲食してスタンプを集めるとアニメグッズがもらえる「とくしまグルメハント」に参加した10事業者の満足度では、「大変満足」「やや満足」を合わせると80%、「ふつう」が20%だった。
県はこの調査を基に「マチ★アソビが県内経済の活性化に一定の成果を上げている」と分析。一方で、徳島市中心部以外への経済効果の拡大や、マチ★アソビ期間以外の集客、限られた会場スペース内での混雑緩和や規模の拡大を課題に挙げる。
県は「今後はマチ★アソビと徳島市以外を含む観光をセットにしたPRを強化したり、4月から眉山山頂に本格オープンさせた『マチ☆アソビCAFE』を活用したりすることで、さらなる経済効果の拡大につなげていきたい」としている。
「一緒に育てる気持ちで」
和菓子製造販売の日乃出本店(美馬市)はvol.9以降、4回のマチ★アソビで看板商品の「ぶどう饅頭(まんじゅう)」などの包装にアニメキャラクターを取り入れたコラボ商品を販売。毎回、1500~2000箱をほぼ完売する人気となっている。
西川弘祐社長は参加理由を「地域を活性化しようというイベントを応援したかったし、製品のPRにもつながると考えた」と説明。5月4~6日のvol.20にも、ぶどう饅頭と「Fate/Zero」のコラボ商品など2種類を出品している。
西川社長によると、マチ★アソビ期間中の売り上げに加え、商品を知らなかった若者らの間で認知度が高まることで、コラボ商品を出品しなかった回のマチ★アソビでも期間中の会場周辺での売り上げが5割程度増えるなどPR効果も大きいという。
西川社長は「もうけだけを意識して参加しても、必ずしも期待通りには行かないかもしれない。まずはマチ★アソビ会場を訪れて趣旨を理解し、一緒に育てようという気持ちを持って参加すれば、将来的には利益にもつながるのではないか」と話した。