四国交通のバスに設けられた貨物の積み込みスペース=三好市の同社

四国交通のバスに設けられた貨物の積み込みスペース=三好市の同社

 四国交通(三好市)は11月1日から、ヤマト運輸(東京)が取り扱う貨物を路線バスで運ぶ「貨客混載」を祖谷線で始める。同社はヤマト運輸から運搬収入を得て、高齢者らの生活の足となっているバス路線の維持につなげ、ヤマト運輸はドライバーの負担軽減を図る。徳島運輸支局によると、バス会社などの旅客自動車運送事業者が人と貨物を運ぶ「貨客混載」をするのは県内で初めて。

 四国交通によると、貨客混載を行うのは、阿波池田バスターミナル(BT)と東祖谷の久保を結ぶ祖谷線で1日4往復計8便のうち、阿波池田BT午後2時10分発と、折り返しの久保同4時44分発の2便。

 祖谷地区に向かう便は、同市井川町の四国交通本社でヤマト運輸の荷物を積み込んだ後、阿波池田BTを出発。途中の西祖谷中学校前と和田上バス停で荷物を降ろし、それぞれヤマト運輸の担当ドライバーが各戸に届ける。

 一方、祖谷地区の各戸から担当ドライバーが預かった荷物は西祖谷中学校前で折り返しのバスに乗せて四国交通本社まで運び、ヤマト運輸に渡す。四国交通は貨客混載の実施に合わせ、保有するバス2台を改修。車内の4席分を貨物の積み込みスペースにする。

 ヤマト運輸によると、今回の貨客混載でトラックの走行距離を1日約100キロ削減でき、ドライバーの移動時間が1日1時間半短縮されるとしている。

 四国交通は現在、三好市と東みよし町で計9路線を運行しているが、9月末に猪ノ鼻線(阿波池田BT-箸蔵ロープウエイ前)を廃止するなど、バス乗客の減少で路線の統廃合や短縮を余儀なくされている。担当者は「ヤマト運輸との提携で、こうした流れを食い止めたい」としている。