東京地検特捜部は2日、徳島県の「とくしま国民文化祭記念管弦楽団(とくしま記念オーケストラ)事業」などで得た所得を申告せず、税金約3千万円を免れたとして、法人税法違反などの罪で、法人としての音楽プロダクション「アンサンブル・セシリア」(東京都渋谷区、解散)を起訴し、同社の川岸美奈子元代表取締役(58)を在宅起訴した。

 起訴状などによると、2016年7月期までの3年間、確定申告をせず、所得計約1億2900万円を申告しなかったとしている。

 関係者によると、同社は、とくしま記念オーケストラの演奏会に奏者を手配するなどしており、所得の大半はこの業務で得た手数料だったとみられる。

 川岸被告はオーケストラ立ち上げに関わり、11年5月~13年3月には県の非常勤の政策参与も務めた。アンサンブル・セシリアは1990年設立。今年8月に解散し、清算手続きを進めている。

 とくしま記念オーケストラは12年に開催された国民文化祭をきっかけに11年9月に設立された。常設の楽団ではなく、イベントごとに演奏家を集めている。演奏会のほか、県内の学校や音楽団体との交流、演奏の指導も行っている。

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 田尾幹司県民環境部長の話

 今回の事案により本県の文化行政の信頼失墜を招いたことは誠に遺憾である。今後は文化行政の信頼回復に向け、しっかりと取り組みたい。

 とくしま記念オーケストラ事業では、アンサンブル・セシリアと川岸美奈子被告に対し、容疑の対象となっている3年間に約3億6800万円の事業費が渡ったことが明らかになっている。ただ、詳細な金の流れは判然としていない。

 県によると、記念オケの事業費は県費や国などの助成金、文化立県とくしま推進会議の基金から支出され、事業を委託した徳島市のイベント会社などを通じてアンサンブル・セシリアに流れていた。

 川岸被告の報酬をはじめ、指揮者や楽団員の演奏料や旅費、楽器運搬費などは委託業者を経由して支払われる。3億6800万円にはこうした費用が含まれているが、委託業者の見積書には、川岸被告の報酬の記載はなく、県も「把握していない」とする。