通信大手ソフトバンクの子会社、SBエナジー(東京)が、徳島市津田海岸町の県木材団地に計画していた木質バイオマス発電所の建設を断念したことが2日、分かった。燃料とする予定だった木質ペレットの調達など事業化に向けた交渉がまとまらず、採算が取れないと判断したとみられる。計画は木材卸のゲンボク(徳島市)と内装仕上げ材製造・販売の大利木材(同)が引き継ぐ意向を示している。
SBエナジーの計画は、バイオマス発電所として国内最大級の74メガワットの出力規模となる施設を木材団地東部の県有地6万4千平方メートルに建設。今夏以降に着工、2020年度以降に発電を始める予定で地元向けの説明会を開き、同意を得ていた。
国の再生可能エネルギー政策の見直しで、SBエナジーが計画する規模の発電所では、電力会社が電気を買い取る価格が段階的に引き下げられており、交渉の長期化で事業開始時期が遅れ、売電収入が当初計画を下回る見込みとなったことが撤退の要因とみられる。
SBエナジーの計画に協力してきたゲンボクによると、SBエナジーは地元の事業所や住民に計画断念を知らせる文書を郵送しており、文書には「想定期日の7月末までに発電事業実施のための諸条件を整えることができず、建設を断念することになった」と記されている。
ソフトバンクグループ広報室は徳島新聞の取材に「事業化を正式に発表した案件ではないので何も答えられない」としている。
SBエナジーの計画断念を受け、ゲンボクと大利木材は、SBエナジーの計画をそのまま引き継ぐ形で木質バイオマス発電所を建設する方針。資金調達に向け、スポンサー企業の選定を進めている。
ゲンボクの岡田育大社長は「今回の計画は港湾地区の活性化や雇用創出、地元経済への貢献の面で意義が大きい。ぜひ実現させたい」と話している。