歴史を刻んできた老舗が、既成概念にとらわれず新たな価値観で作った商品や、これまで培った経験を昇華させクリエイトするお菓子、地域の農業や文化を守るべく生み出されたもの。大切にすべきことを掲げ、独自のブランドを立ち上げた人たちを訪ねた。

ユキフードデザインスタジオ〈おやつ の花〉

フードデザイナー 小林さん(37・東京都出身)

 佐那河内の地名から名づけた「の花」は、フードデザイナー・小林幸さんが立ち上げたおやつ工房。村の豆腐店から仕入れるおからや希少な穀物しこくびえなどを用い、自然の恵みを感じる素朴な焼菓子を手がけている。

写真を拡大 小林幸さん。今年の春から佐那河内村を仕事と暮らしの拠点に。

 東京で生まれ育った小林さん。2年前に徳島に来るまでは、東京のデザイン事務所でグラフィックデザインや飲食店のメニュー開発、水産加工の会社で新商品のブランディングやパッケージ製作などの仕事に携わってきた。

 2017年に独り立ちし、カフェのレシピ開発のサポートや販促物の作成など「食」まわりのデザインを行うユキフードデザインスタジオを開業する。徳島の会社と仕事をしたことが縁で2018年に移住。「都市より自然が多い方が自分には合っていると思ったんです」と小林さんは振り返る。

 デザイン業と並行して始めたのが、店舗を持たずに行う焼菓子の受注生産だった。「ユキフードデザインスタジオと名乗るからには、食に関する事業をやりたいと思っていました。デザインの仕事と両立できるよう受注制にして、日持ちするものを…と考えたときに焼菓子に辿り着いたんです。おやつって食べるとほっこりするし、人にあげると喜ばれるし、ちょうどいいなぁって。最初は東京の会社やお店とのやりとりが中心でしたが、徳島で知り合いが増えてから、こっちでも徐々に委託販売するようになりました。ただ手作りのお菓子というだけでは選んでもらう理由がぼんやりしすぎているから、原料にはこだわりを持っています。主となる粉や油や砂糖はなるべくオーガニックなものをセレクトしています」。

 おからブラウニー(2個入380円)や雑穀クッキー(5枚入450円)、レモンケーキ(250円)など4種類ある定番の焼菓子のなかでも思い入れが深いのが自然栽培人参のキャロットケーキ(280円)。「阿波市の小野農園さんの自然栽培で作られたニンジンを使用しています。畑にお邪魔した時、土がとても元気でこのニンジンを使いたいと思ったんです」。水分が出すぎないようニンジンは細かく刻み、きび粉を配合した生地に混ぜこんでいる。ニンジンの繊細な甘さを生かすため、レーズンではなくクコの実を入れているのも特徴だ。「スイーツというよりは、ちょっとお腹が空いたときに安心して食べられるお菓子ですね。ハレとケなら、ケの日のおやつかな」と頬を緩ませる。

写真を拡大 (手前から時計回りに)自然栽培人参のキャロットケーキ(280円)、すだちのチーズケーキ(350円)、おからブラウニー(2個入380円)、チョコバナナブレッド(380円)、雑穀クッキー(5枚入450円)、皮ごとおいもクッキー(価格未定)。

 商品は県内の販売店(下記参照)、「おやつ の花」のオンラインショップにて販売。メールで事前予約をすれば、製造を行っている「食業工房さなごうち」でも購入できる。    

写真を拡大 オフィスとお菓子の製造室を構える食業工房さなごうち。

【県内の販売店】
・喜多野安心市(徳島市応神町)
・さなごうちふる里物産直売所(佐那河内村)
・9k えほんとだがしとものづくり(徳島市下助任町)
など

【オフィス・製造室】
住所=徳島県佐那河内村下西ノハナ26-1(食業工房さなごうち)
対応時間=10:00〜17:00

購入する場合は事前予約が必要
ykkb623@gmail.com