サッカー女子のプレナスなでしこリーグ1部の第5節が6日、神戸市のノエビアスタジアムなどで行われた。4月のアジアカップを制した日本代表・なでしこジャパンのメンバーであるINAC神戸のMF増矢理花(22)=松茂町出身=とマイナビベガルタ仙台レディースのDF市瀬菜々(20)=徳島市出身=が顔を合わせた。

マイナビ仙台のDF市瀬(手前)とINAC神戸のMF増矢=ノエビアスタジアム

 ともに先発フル出場を果たした両選手。増矢は3得点に絡む活躍を見せた。トップ下で出場し、前半32分、右コーナーキックからのこぼれ球を左サイドで受けると、中央後方の仲田歩夢にパス。仲田が左足ミドルでネットを揺らし、アシストを記録した。1分後にも、ペナルティエリア左で相手守備のトラップが浮いたところを詰め、京川舞のゴールにつなげた。

攻め込む増矢(左)と阻止しようとする市瀬=ノエビアスタジアム

 相手の間に入り込み、巧みな足さばきでボールを保持したり、両サイドに走り込んではクロスを上げたりとチャンスを演出。シュートも放ったほか、鋭いターンで対峙(たいじ)したマイナビ仙台のDF市瀬を振り切る場面もあった。試合終了間際には中盤で奪ったボールを左へ展開し、ダメ押し点の4点目の起点となった。チャンスをつくれたことを評価しつつも「もっとシンプルなプレーを増やし、ボールを失う場面が多かったので改善したい」と反省点を挙げた。状態は良さそうに見えたが「(コンディションは)自分の中ではまだまだ」としながら、来年のワールドカップに向け「チームで良いプレーをしていくことがつながっていく」と、より高いレベルに近づくことへ意欲をみせた。

守備に奮闘する市瀬(右)

 マイナビ仙台の市瀬は、試合開始直後には最終ラインの中央にいたが、その後、右サイドバックにポジションを変え、タッチライン沿いをオーバーラップする攻撃参加も見せた。再びセンターバックのポジションに移るなど、チームとして試合の中でいろいろな形を試した。守備では相手の攻撃に体を投げ出して、前に出てピンチの芽を摘み取ろうと奮闘した。増矢や、途中出場で徳島県阿南市出身のFW道上彩花(23)とも競り合い、ボールを奪おうとスライディングを仕掛けるなどした。 

 しかし、4失点の大敗に試合後は「できないことが多くて悔しかった」と振り返った。攻撃のタレントを多くそろえるINAC神戸と戦うため、得意とする、前でつぶすプレーや、ビルドアップで寄せてくる相手をはがすなどのプレーが必要だったが、思ったほど出せずに反省しきり。増矢との対決はターンでかわされ「上手でしたね」と苦笑いした。

 なでしこジャパンでは、最終ラインに定着しつつある。4月のアジアカップでは4試合でフル出場し、決勝戦でも先発フル出場を果たした。「アジアで優勝できたことはすごくうれしかった」と喜びを語る一方、「このままワールドカップに戦うにはまだまだレベルアップしなきゃいけない」と表情を引き締めた。

 予選リーグ、決勝戦で顔を合わせたオーストラリアのように、スピードやパワー、体格で上回る相手について「それが普通のレベルだと思う」と話す。フィジカルで上回る相手への対応が勝敗の鍵を握ることになり「体のぶつけ方など工夫が必要。自由にさせないプレーを学んでいきたい」と、世界と戦うために成長を誓った。