人手不足に伴う民間企業の採用意欲の高まりで、受験者数が減ってきている徳島県職員の採用活動に変化が出てきた。県人事委員会は19日、県職員の仕事内容を知ってもらうため、就職活動を控えた大学生らの子どもを持つ保護者を対象に初めて説明会を開く。県庁への就職を親から口添えしてもらいたいとの意図があり、同様の説明会は他県でも増えている。「子どもの就職に保護者説明会?」との違和感は、今は昔になりつつある。
説明会は午後2時から、徳島市のあわぎんホールで開かれる。町村役場や市役所に比べて分かりづらいとされる県庁の仕事内容の紹介のほか、若手職員3人による就職経験談、今春に子どもが県職員になった保護者の経験談などが披露される。定員は80人で、申し込みが必要。
県人事委によると、県職員採用試験の1次試験受験者数(大卒程度)は近年減る傾向にあり、2014年度が1221人、15年度が1184人、16年度が1003人、17年度が944人となっている。中でも総合土木や建築、電気、機械、薬剤師などの技術職に人が集まらないという。
16年度は県内外の18大学で学生向けの説明会を開いたが、もっと効果的にアピールする方法はないかと考え、保護者向けの説明会を開くことにした。
就職先を決めるに当たって学生の多くが親の意見も参考にしているとの民間データがある。県人事委の岡島敏子任用課長は「県外に進学した学生を徳島に呼び戻す上でも、保護者から子どもさんに声掛けしてもらい、ぜひ就職先の選択肢に県庁を入れてもらいたい」と話している。
保護者説明会は他県でもここ1、2年で一気に拡大し、福井や石川、富山、鳥取各県のほか北海道でも開かれている。
昨年から保護者説明会を始めた福井県人事委は「公務員に人が集まらない状況はどの県も同じ。多くの人に受験してもらうにはいろいろな方向から情報提供する必要がある」と狙いを説明する。福井をはじめどの県も「説明会は好評だった」というが、受験者増にはなかなか結び付いていないのが現状だ。
労働市場の人手不足が続く中、人材の確保は官民ともに大きな課題となっている。「将を射んと欲すれば、まず馬を射よ」との故事通り、採用で家族へのアプローチに力を入れる動きは今後も広がりそうだ。