第73回新聞週間期間中の18日は「新聞配達の日」。新型コロナウイルスの感染拡大は新聞配達の現場にも大きな影響を与えており、徳島新聞と読者をつなぐ84の専売所では配達業務に支障が出ないよう入念な感染防止策を講じている。ウィズコロナ時代を意識した各専売所の取り組みを紹介する。

時差出勤 密集避け 屋外で仕分け

販売店内での「密」を避けるため、店の前で朝刊の受け渡し作業を行う=徳島市応神町古川の北島南専売所

 「読者に安全な新聞を確実に届けられるよう、感染防止策を徹底している」。北島南専売所(徳島市応神町古川)の石田順二所長(62)はそう力を込める。

 その一つが時差出勤だ。スタッフが密集しないよう、18人を4グループに分け、午前2時半から3時半の間で順次出勤するようにしている。

 店内でいる時間を短くするため、折り込みチラシを挟んだ朝刊は配達区域ごとに分けて、店の外に設けた台に置く。出勤したスタッフは店内に入ることなく、朝刊の束をバイクに積んで素早く各家庭へと向かう。

 店内に置いていたタイムカードも外に出した。雨の日は店内をビニールで区切ってスタッフ同士の接触を減らすなど、小まめな対策を講じている。

 スタッフ自身の意識も高まっている。トイレの手拭き用タオルをペーパータオルに変えたり、消毒用アルコールを持参したりと、全員でコロナ禍に立ち向かっている。

 石田所長は「感染防止策に取り組む上で不満が出るかと思ったが、みんなが協力してくれてありがたい」と喜び、「これからも読者を一番に考えた配達の仕方を考えていきたい」と意気込む。

 配達業務はスタッフがいるからこそ成り立つ。感染者が出た場合に備えた緊急時の対応も想定し、日頃から基本的な感染対策や健康管理を欠かさない。読者に朝刊を安心して受け取ってもらえるよう、地道な対策を続けている。

除菌・消毒 換気、手袋着用を徹底

新型コロナウイルス感染防止のため、換気に気を配りながら朝刊の配達準備をするスタッフ=徳島市国府町観音寺の国府南専売所

 印刷センターから朝刊が運び込まれる少し前の午前2時、国府南専売所(徳島市国府町観音寺)の電灯がともる。すぐに山下義明所長(54)は3台の扇風機を回し、入り口と小窓を開けて換気を始める。「感染者は一時期より減っているけれど、油断せずに感染対策を続ける」

 国府南専売所では、スタッフ15人ほどで約2300軒の配達を担当。マスク姿で出勤すると、手指をアルコール消毒し、換気が行き届いた店内で他のスタッフとの間隔に気を配りながら配達準備を進める。備品は定期的に除菌し、配達時には軍手やビニール手袋の着用を徹底している。

 今後はコロナに加え、インフルエンザが流行するシーズンを迎える。山下所長は「配達体制を維持することが最も重要。スタッフの健康管理に一層気を配り、読者の期待を裏切らないように努める」と気を引き締める。

作業台 対面回避 L字に

対面作業回避へL字型の台の上で朝刊にチラシを折り込むスタッフ=阿南市羽ノ浦町の羽ノ浦南専売所

 羽ノ浦南専売所(阿南市羽ノ浦町岩脇)では、店内作業でスタッフ同士の間隔を保つため、県の「WITHコロナ『新生活様式』導入応援助成金」を活用して新しい作業台を設けた。

 これまでは3、4人が店内中央の台を取り囲むようにして配達の準備をしていた。8月末に完成した作業台は、L字型と長方形の2種類。スタッフは壁に向かって立ち、朝刊に折り込み広告を挟む作業を行う。木田昌宏さん(64)は「対面作業とは違い、感染の不安がなくなった」と安堵の表情を浮かべた。

 全スタッフ14人のうち、9人が60代以上。「まずはスタッフの健康が大切」と仁尾修治所長(40)。さまざまな感染対策を取る中で「コロナをきっかけに、仕事をしやすい環境づくりにも取り組んでいきたい」と前を向く。

便乗悪質商法の防犯活動も 県と連携 チラシで啓発

新型コロナウイルスに便乗した詐欺や悪質商法に対して注意を促した「地域の絆シリーズ」第18号

 徳島新聞専売所でつくる徳島新聞販売店会(徳新会)は、地域の課題や社会的な問題となっている事象をテーマに定期的に発行しているチラシ「地域の絆シリーズ」(A3判、両面カラー)を活用し、新型コロナウイルス感染症対策やコロナに関連した悪質商法への注意を呼び掛けた。

 2月に発行した17号には、コロナの特徴や予防策を解説した医師のインタビュー記事、相談窓口の連絡先を掲載。裏面では正しい手洗いやマスク着用の仕方を絵で解説し、咳エチケットや「3密」の回避など日常生活での基本的な注意事項を周知した。

 5月発行の18号ではコロナに便乗した詐欺事例を県と連携して取り上げた。国民に一律10万円を支給した「特別定額給付金」などに関する問い合わせを装い、個人情報や口座番号を聞き出したり、手数料をだまし取ったりする手口を紹介。裏面にもコロナ関連の悪質商法を載せ、訪問販売や電話勧誘に警戒するよう促した。

 啓発チラシはそれぞれ20万部ずつ配布。この取り組みはコロナ感染対策に貢献したとして、7月21日に県知事感謝状が贈られた。

新聞輸送の徳島トラフィックサービス 車内 小まめに除菌

 県内の本紙販売店に朝刊を配送している徳島トラフィックサービス(徳島市応神町吉成)では、新型コロナウイルス感染症の対応マニュアルを作成し、マスク着用や消毒など感染防止策を徹底して業務に当たっている。

 従業員は出勤すると、まず手指のアルコール消毒をして体温を測定。朝刊を運ぶトラックの運転手は毎日異なるため、出発前にハンドルなど車内の除菌を小まめに行う。朝刊の積み込みや荷下ろしの際は軍手を着用し、感染リスクを最小限に抑えている。

 マニュアルでは、従業員や同居の家族に感染が疑われる症状が出たり、濃厚接触者になったりした場合を想定し、それぞれの状況における対応方法を示した。交通事故や大規模災害が起きた場合の対応マニュアルは作成していたが、感染症のリスク対応は想定外だった。

 徳島トラフィックサービスの担当者は「安全に確実に朝刊を届けるために、幅広くリスク管理をしていかなければいけないことを認識した。業務の見直しをしていきたい」と気持ちを新たにした。