新型コロナ対応を振り返り「難しい判断を迫られることもあった」と語る西村院長=県立中央病院

 徳島県内では7月下旬から8月末にかけ、新型コロナウイルス感染が急激に広がった。患者対応の最前線の医療機関は当時、どう対応し、どんな教訓を得たのか。感染症指定医療機関の一つである県立中央病院の西村匡司院長に聞いた。

 ―7、8月の県内は全国的な流行の「第2波」と同様の感染状況となり、高齢者施設などでクラスター(感染者集団)の発生が相次いだ。

 もう少しなだらかに増えるのだろうと予想していたが、変化は急激だった。クラスターが発生した時は、県立3病院が中心となって患者を受け入れた。中央病院は救急患者も多いため、三好、海部の両病院が積極的に陽性患者を受け入れてくれた。酸素投与が必要な中等症患者は中央病院が対応するなど、それぞれの病院機能に合わせて役割を分担した。

 ―当時の中央病院の状況は。

 (全国で感染が広がり始めた)春頃の患者は軽症か無症状で、治療行為はほとんどなかった。8月は中等・重症患者も運ばれてきたので、酸素投与や点滴などが必要となり、医療スタッフが病室に入る頻度も滞在時間も増えた。防護服を着てフル装備で対応するため、現場の負担は一気に増した。一度病室に入れば一般病床との行き来ができないし、サポート要員もいる。看護師1人がケアできる患者数は通常時の半分以下となり、予想以上にマンパワーを必要とした。

 ―患者の中で高齢者の割合が高く、重症化するケースも多かった。

 高齢者は基礎体力の低下に加え、肺機能が弱っていることも多い。その状態で(気管にチューブを差し込む)挿管をして人工呼吸を施しても体に負担がかかるだけで、症状改善が期待できない場合もある。本人やご家族にとってベストな選択は何なのかと、難しい判断を迫られることもあった。治療だけでなく生活面でのサポートが必要な高齢者もいたので、現場の負担は大きかったと思う。

 ―今冬は、新型コロナとインフルエンザの同時流行が懸念されている。

 新型コロナは呼吸器症状があり、インフルエンザは急速に熱が上がるといった特徴はあるものの、見分けるのは難しい。病院としては発熱があればコロナ感染を疑うという基本的なスタンスを維持し、感染対策を施した上で対応するしかない。いずれも飛沫感染するので、県民には引き続き手洗いを励行してもらいたい。ウイルス量が少なければ発症しても軽症で済むという報告もあるので、マスク着用も徹底してほしい。