かねてから「クオリティ高すぎる」「結局一番おいしい」などの声が寄せられているセブン‐イレブンの惣菜シリーズ

 コロナ禍でコンビニ各社が約5割減の営業利益という打撃を受ける中、約1割減に留めたセブン‐イレブン。その理由の1つに、惣菜人気の増加とそれに合わせた“あえてのサイズ縮小”、陳列の変更があった。10年ほど前から他社に先駆け、惣菜に注力してきた同社。今ではコンビニ各社で充実したラインナップと高いクオリティを展開している印象だが、“セブン惣菜”は「おいしすぎる」「別格」とSNS等で度々話題になっている。そのおいしさの秘訣とは。ここ最近で、主婦がポテトサラダや唐揚げなどの惣菜を買うことに対して勃発した「手抜き」論争への見解も含め、商品本部FF・惣菜部総括マネジャーの羽石奈緒さんに聞いた。

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■少子高齢化や女性の社会進出を背景に革新、「トレンドはあえて追いかけない」商品開発

 店舗によって品揃えは異なるが、現在セブン‐イレブンで販売されているトレー入りのお惣菜は約30アイテム。パウチ惣菜であるセブンプレミアムデリカ(以下/7Pデリカ)は主菜・副菜の合計で約50~60アイテムが陳列されている。

 近年では7Pデリカの“金のシリーズ”と呼ばれる『金の直火焼ハンバーグ』や、7Pデリカの『さばの塩焼』など、「セブンの惣菜最強」「結局一番おいしい」「企業努力の結晶なんだろうなというレベルで美味すぎ」とSNSなどで話題になっている。その商品戦略や店頭拡販のきっかけは2009年に遡る。「背景には当時の社会環境がありました。少子高齢化、女性の社会進出など。世帯人数が減少する中、コンビニのあり方も問われるように。そんな時、“近くて便利”というテーマと共に、「美味しいものが近くで買えたらいいよね」というニーズに答えていきたいところで手掛けたのが、お惣菜や7Pデリカの開発だったのです」(羽石さん/以下同)

 それまでのコンビニは、単身男性や学生がメイン客層だったが、働く女性や高齢者をさらなるターゲットとし、気軽に買いに寄ることが出来るお店を目指した。「美味しいと思う商品は“食べ馴染みのある商品”と考えました。極端なニーズやトレンドを追いかけるより、万人が食べてホッとするものや1ヵ月に2、3回は食べたくなるメニュー。 “日本の食卓”をイメージすることを基軸に商品開発をしています」

■『金の直火焼ハンバーグ』は10年間改良重ね、肉の挽き方・輸送経路まで徹底管理

 同社が惣菜に注力し始めて以来、競合他社もこぞって追従するかのように多様なラインナップを揃え、品質も向上していった。しかし、“セブン惣菜”は別格と言われる所以はどこにあるのだろうか。そこには、原材料、製造工程、物流まで、細かいところまで徹底されたものづくりへのこだわりがあった。「基本的なところ、シンプルなことにこだわり抜くことが弊社の強みであり、それこそ一番難しいことなのです」と羽石さんは語る。

 例えば人気商品である『金の直火焼ハンバーグ』。1食397円(税込)と、コンビニ商品の中では「安い」とは言えない。だが同商品を含め、セブンの最上級ブランドである『金のシリーズ』は飛ぶように売れる。

「肉の挽き方、肉の産地、輸送方法、どんな温度で運ぶか。共同開発の日本ハムさんと綿密な打ち合わせをしています。肉を挽いた後、どの時間でどう成型するか。どんな粗さにするか、こねる時の温度、どう空気を抜き、どの温度で焼くか。今年は、肉を挽く最新機械を導入してさらなる品質向上を図るなど、2010年の発売以来、お客様のニーズに応えて磨き続けています」。

なるほど。この努力を考えると397円はむしろ廉価にも感じる。また、昨今急激に売上を伸ばしているのが『コールスロー』などの“カップデリ”と呼ばれるラインナップだ。カップデリの一部の商品にはシール状のふたを使用し、食品ロス・資源ロスの削減を実現した。「食品ロスやプラスチック削減などの社会的課題を考えつつも、おいしさは妥協できない。そこで、最新技術により作られたシール状のふたを採用することで、資源を削減と共においしさを維持しつつ、お店に置ける期間を延ばすことができました」

■外出自粛で1人あたりの店舗利用数1/3に それでも大打撃にならなかった理由

 そして最近気になるのは、“内容量”。女性からは「食べ切れるサイズ」と好評の一方、ネット界隈では「少なくなった」「足りない」などの声も少なくない。同担当者はこれについて「実は面白い事例があるんです」と話し始める。「今でこそ人気のコールスローですが、こじんまりとしたカップデリで売り出すまではそれほどの人気商品ではありませんでした。事実、カップデリで出すことでその存在に気づいてもらえた。プラス“もう一品”という立ち位置で、多くの方に手に取っていただける商品となりました」

 同社は常に“適量”を考えている。パスタやグラタンでいえば、以前はそれ一品で満腹になる大容量だった。だが時代と共に健康志向は年々強まり、コロナ禍でその傾向はさらに加速。食卓にぽつんと一つパスタ…ではなく、野菜や肉もあった方がいい気がする…と考えるようになった人も多いのではないだろうか。その“時代の流れ”を汲んだセブン‐イレブンは、今年から通常サイズよりひと回り少量のグラタン『小さなフリコ』も発売。「男性や若者、学生だけではない、女性など違う客層の方々が買ってくださるようになりました」と、サイズ縮小により、客層は逆に拡大しているようだ。

 ここでさらにコロナ禍が、新たなベクトルを付与する。外出自粛により家で食事をする人が増え、リモートワークでの在宅、巣ごもり、家飲みが増えた。ネガティブ面から言えば、オフィス街などの人通りが減り、売上は減少。同社の統計では、客の多くは、1人あたり3店舗のコンビニを利用するという。オフィスでの中食を始め、会社や学校に出かける途中や帰り際、そして自宅の近所だ。しかし外出自粛により、利用する店舗は“自宅の近所”1店舗のみとなる構造変化が起きた。

「1つの店舗で様々な商品を一度に購入するお客様が増えたため、より組み合わせて購入しやすいように、お店のレイアウトも変更しました。例えば、惣菜売場の近くに酒類を移動し、惣菜をおつまみとして購入していただけるようにレイアウトを変更。商品の陳列に関しても、“プラス1品”として買われやすいカップデリシリーズは、目線の高さにある段に起き、目に留まりやすいように。店舗全体で“組み合わせ買い”しやすいレイアウトを整備したのです」

■“惣菜は手抜き”論争に対する見解は?「我々の商品なら“手作り”感を出すことできる」

 ところで…だ。先日、「主婦がポテトサラダやから揚げをお店で買うのは手抜き」という論争が話題になった。惣菜を買うことが“手抜き”と考える人もいることが浮き彫りになったのだ。これについて、並々ならぬ努力を費やして惣菜づくりに力を注いでいる羽石さんは、「人それぞれのライフスタイル、価値観がありますので当然気にされる方もいらっしゃるでしょう。ですが、家族のために1品でも食卓に出したい、栄養バランス良く提供したい、と思っていても、なかなか多品目は作れないという方も多い。そこで、“日本の食卓”をイメージした我々の商品をうまく使ってアレンジしていただければ手作り感を出すことが出来ます。ちょい足しアレンジレシピも弊社サイトで紹介していますので、それも参考にしてもらえたら」とのことだ。

 一切の妥協を許さぬ、たゆまぬ努力。社会環境への配慮や時代に合わせた柔軟な変化。“近くて便利”にこだわり続けるセブン‐イレブンは、今後も“手を抜くこと”はなさそうだ。


(文=衣輪晋一)


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