[左]松田さんとフーガ=鳴門市大津町 [右]郡司さんとウラン=東京都内

[左]松田さんとフーガ=鳴門市大津町 [右]郡司さんとウラン=東京都内

 徳島の盲導犬を育てる会(徳島市)は、東京と鳴門市で長年、視覚障害者の女性を支え、引退を予定している2匹の盲導犬の引き取り先ボランティアを募っている。室内飼育や、他の犬を飼っていないことが条件。医療費は同会などが負担するほか、急に家を空ける場合に会が預かるといった支援も行う。


 ◆ラブラドルレトリバー(ウラン)海外での誘導も経験

 ラブラドルレトリバーのウラン(9歳、雌)は、「ベルナのしっぽ」など盲導犬との生活をテーマにした著作がある作家郡司ななえさん(72)=東京都江東区=と7年間、一緒に暮らした。温和で従順な性格。郡司さんの歩調に合わせて必ず道の左端を歩く。

 阿波踊りや四国霊場札所巡りで来県した際に接した県民の温かい人柄やおもてなしの心に感動し、引き取り先を探すことにした。「徳島ではどんな場所でもウランをいたわってくれた。幸せな余生を送れるはず」

 誘導が安定しているため、これまでにブラジルやチェコなど7カ国を一緒に巡った。ウランを題材にした著作はないが、旅行などについて記したブログが好評を得ている。

 ウランと別れた後、次の盲導犬との訓練を始める。「寂しいけど徳島でのびのびと暮らしてほしい」と話す。


 ◆ゴールデンレトリバー(フーガ)おとなしく用心深い

 ゴールデンレトリバーのフーガ(8歳、雌)は、鳴門市大津町の自宅でマッサージ業を営む松田恵美さん(64)と約6年半、生活を共にした。おとなしく用心深い性格で、「車が近づくと必ず止まるなど一緒に歩いていて恐怖を感じることが一度もなかった」。

 盲導犬の引退は、視力や足腰が衰える10歳がめどになる。松田さんは過去に盲導犬と14年連れ添った経験があるが、体力面での衰えが激しかった。フーガを健康なうちに引退させ、幸せに暮らしてほしいと願う。

 健康面の不安もあり、松田さんはフーガを最後に盲導犬の利用をやめる。「フーガとの生活は私の財産。健康を一番に考えてくれる人にもらってほしい」と涙ぐんだ。

 ウラン、フーガの引き取りに関する問い合わせは育てる会<電088(625)7700>。