[上]刈り取った藍を葉と茎に分ける佐條さん。機械はないので全て手作業だ=ネパールダラムガル村(屋広さん提供)[下]プロジェクトを進める屋広さん(右)と佐條さん=徳島市のとよとみ珈琲

[上]刈り取った藍を葉と茎に分ける佐條さん。機械はないので全て手作業だ=ネパールダラムガル村(屋広さん提供)[下]プロジェクトを進める屋広さん(右)と佐條さん=徳島市のとよとみ珈琲

 ネパールの山村で藍を育てる民間プロジェクト「AiUeO 藍植えよう。」がスタートした。2015年のネパール大地震で被害を受けた村に現金収入の手段を確保するのが目的。苗植え3年目となる今年、初めて栽培に成功し、海陽町から渡ったタデアイの種がヒマラヤ山脈の麓でみずみずしい緑の葉を広げた。今後、刈り取った葉で藍染めをし、商品化を進める。

 プロジェクトを進めているのは、首都カトマンズ在住でアパレル業に従事する屋広育美さん(45)、徳島市庄町1の美容師佐條佳輝さん(38)、徳島大工学部卒で自転車で世界を旅する冒険家西川昌徳さん(34)、高知県東洋町の藍染師蛭子真樹さん(33)の4人。中国との国境に近いドラカ郡ダラムガル村で、村人の協力を得て藍を栽培している。

 最初の2年は発芽したものの育たず、今年初めて藍葉を刈り取った。現在は乾燥葉を保管している。佐條さんは藍師・新居修さん=上板町七条=にすくも作りを教わっており、今後はすくもや沈殿藍による染めを現地で行う。

 プロジェクトのきっかけは、地震後に屋広さんが友人の故郷であるダラムガル村に支援に入ったこと。村人に必要な物を尋ねると、「仕事」という答えが返ってきた。

 思案する屋広さんに、友人で徳島に縁のある西川さんが「藍を植えよう」と提案。アパレルの生産管理の仕事をしてきた屋広さんは、これまでのものづくりの経験が生かせると賛同した。種は、藍畑をもつ海陽町大里の肌着メーカー・トータスから譲り受けた。

 村では昔から現金収入のすべがなく、男性の多くが中東などに出稼ぎに行っている。屋広さんは「村に仕事ができれば出稼ぎの必要もなくなり、家族で過ごせる。すぐに成果が出るものでないので、気長に取り組んでいきたい」と話している。

 現在、プロジェクトの資金集めを目的としたネパール雑貨の展示販売会を徳島市末広2のとよとみ珈琲で開催中。12月5日までで、11月22、29日は休み。問い合わせは屋広さん<電090(8760)7020>。