徳島市の遠藤彰良市長は8日の定例会見で、市が設立した「阿波おどり実行委員会」が主催する今夏の阿波踊りで、桟敷席や照明設備設置工事などの関連業務全てを入札するのは難しいとの見解を示した。入札に必要な仕様書などを昨夏までの主催者だった市観光協会が保有しておらず、業者が応札する際に必要な資料を準備できないため。市が公表した観光協会の会計に関する調査報告書では、一部で不適正な随意契約が行われていた点が指摘されていた。
市は、観光協会の破産手続き開始が決定した3月29日以降、破産管財人の許可を得て阿波踊り関連の書類を入手。今夏の開催に向けて準備を進めている。
遠藤市長は会見で、入手した書類の中に仕様書や設計図がなく、現時点で入札に必要な資料が用意できないと説明。「入札できるものは入札したいが、必要な資料が残っていない。(全部を入札にするのは)無理だと思うが、できるだけ公平に、透明性を確保したい」と話した。
来夏については「今年の阿波踊りが終わってから1年間あるので、ない資料は来年までに整えられるのではないか」とした。
市が2月に公表した調査報告書では、観光協会が工事などを外部業者に発注する際、一部の随意契約で相見積もりを取っていなかったり毎年同じ業者に見積書の提出を求めたりしていた点などを「不適正な処理」と指摘。阿波踊りの累積赤字が4億円余りに膨らんだ一因に挙げている。