徳島県商工会連合会(会長・岡本富治県議)が1~14日に台湾で開いた県産品のPR展示・商談会「徳島県人気美食工芸展」で、展示販売を予定していた品の約9割が税関審査をスムーズに通過できず、展示が大幅に遅れたり、約半数の品が会期中に届かなかったりしていたことが分かった。台湾の審査が厳しいことへの認識が不十分だったのが要因で、連合会は出展者に謝罪した。
イベントは台湾南部の高雄市の百貨店で開かれ、連合会としては初めての海外出展だった。連合会によると、5月から参加者を公募し、徳島市や勝浦町などから食品加工、工芸品製造の23業者が参加。東京の大手広告代理店が仲介し、10月上旬にサツマイモやイチゴ、日本酒、藍染の商品など76品目を台湾に送った。
しかし、多くが通関できず、初日の1日に展示できたのは酒の5品目のみ。5日目になってようやく6品目が、10日目には21品目がそれぞれ会場に届いたが、展示予定の42%にとどまった。24日時点で、台湾から戻って来ていない品もあるという。
通関できなかった理由は「台湾税関が明らかにしていない」(連合会)としているが、食物検疫などが原因ではないかとみられる。
連合会と仲介業者は24日、徳島市で説明会を開き、出展業者に謝罪するとともに、税関で止まった商品は買い取る方針を伝えた。
なると金時を使った商品700パックが税関で止められた同市の食品加工業者は「連合会に勧められて出展したのに。こんなことになるとは」と落胆。約60個の納豆パウダーの到着が10日まで遅れた業者は「税関の判断なので仕方ない。台湾の税関が厳しいのは有名だったのだが」とこぼした。別の出展者は「利益が出ると思って出展したのに、逆に損をした」と怒った。
約4千万円のイベント予算の大半は国からの補助金が充てられている。連合会は徳島新聞の取材に対し「仲介業者は何度も台湾で展示を担当しているが、『こんなことは経験したことがない』とのことだった。見通しが甘かったというよりアクシデントに近い」と説明。「業者にはご迷惑をお掛けした。誠実に対応する」とした。
連合会には県職員2人が派遣されているが、県商工政策課は「県が直接携わった事業ではない」としている。