藍の華で塗装したチェストの後ろに立つ(左から)大野留美さん、健さん、矢野さん=徳島市立木工会館

 徳島市川内町大松のインテリアコーディネーター大野留美さん(51)が、阿波藍の発酵時に発生する泡状の色素の固まり「藍の華」で塗装したチェストを作った。15日から徳島市立木工会館で展示するのを皮切りに、海外の見本市に出品して徳島ならではの家具の販路拡大を目指す。

 チェストは県産スギ製で、幅80センチ、奥行き42センチ、高さ45センチ。留美さんのデザインを基に元家具職人の夫健さん(57)=建築業=が製作し、藍染師の矢野藍秀さん(54)=藍住町矢上=が藍の華を溶かした塗料を2週間かけて重ね塗りして仕上げた。

 チェストの扉には藍染の布を用い、2020年東京五輪・パラリンピックの公式エンブレムに採用された市松模様を施した。

藍液に木材を漬けて染色すると木が余分な水分を吸収して乾燥時にひずみが生じる。藍染を家具に取り入れるのは困難だったが、矢野さんが藍の華を塗料に使うよう提案した。

 木工会館での展示は6月3日まで。受注生産で20万円前後での販売を予定している。

 今後は縦型のチェストや遊山箱など、藍の華を使った製品のラインアップを充実させる。東京都内の取引先を通じてヨーロッパやアメリカの見本市に出品し、販売ルートの確立を目指す。

 留美さんは「徳島らしいインテリアで、低迷する木工業を盛り上げたい」と話している。