四国電力管内で電気の購入先を四電から他社に切り替えた家庭が、3月末で10万件を突破したことが、電力広域的運営推進機関(東京)のまとめで分かった。電力小売り全面自由化が2016年4月に始まって約2年。総契約数に占める比率は5・2%と、全国平均の11・3%は下回っているが、徐々に新電力を選ぶ家庭が広がっている。
四電管内の切り替え件数は累計10万600件。前年同期の3万2900件から飛躍的に伸びた。料金プランの比較サイトを運営しているエネチェンジ(東京)では、四電管内で選べる会社として19社を紹介している。1年前は9社だったが倍以上に増えた。
切り替えた比率は沖縄を除く大手電力9社で6番目。競争の激しい東京電力管内や関西電力管内が15%前後なのに比べれば、四国はその3分の1にとどまっている。
16年11月には建設業の亀井組(鳴門市)が新電力のF-Power(東京)と業務提携を結び、県内企業で初めて電力販売に参入した。これまでの契約数は約2千件で、開始1年で5千件としていた目標には達していない。担当者は「新しいものに飛びつかない県民性があるのかもしれない。徐々に浸透していきたい」と話す。
四電によると、家庭向けは小口が多いため他社への切り替えは経営に打撃を与えるほどには至っていない。一方で、割安な料金プランを用意したり、水回り、鍵といったトラブルが起きた契約者に専門業者を手配する「生活トラブル駆けつけサービス」を導入したりし、顧客のつなぎ止めを図っている。
四電管内の状況について、エネチェンジの中田都季子広報・マーケティング担当は「四電の電気代が比較的安く、いまひとつ切り替えが進んでいない。しかし、最近の石油価格の上昇で夏の需要期に電気代が上がり続けることを考えると、切り替えが進む可能性も考えられる」と分析している。