【朝日に浮かぶ】日の出の時刻、気動車ASA101形のシルエットが浮かび上がった。開業以来、毎日繰り返された光景は間もなく思い出になる=宍喰駅

 徳島県南端の町、海陽町にある阿波海南駅と高知県東洋町の甲浦駅を結ぶ「阿佐海岸鉄道」。延長10キロの第三セクター鉄道で、国鉄が建設していた阿佐東線を引き継ぎ、1992年3月に開業した。

 自動車が主の交通体系、沿線の過疎化などで開業から苦戦が続いていたが、2021年春に線路と道路の両方を走れるデュアル・モード・ビークル(DMV)を運行することになり、現在、その準備が進められている。

 その中で、開業以来、同鉄道を支えたディーゼル車両が役目を終え、今月いっぱいで引退することになった。

 開業当時に造られたASA101形と08年に事故廃車になったASA201形の代わりに九州の高千穂鉄道から譲渡されたASA301形の2両である。

 ASA101形には「しおかぜ」、ASA301形に「たかちほ」と愛称が付けられて住民の足、イベント列車の主役として親しまれ走り続けてきた。

 ラストランを目前に過去のアルバムからそれぞれが導入された当時の写真を引き出し、黙々と走り続ける姿を同線に追った。惜別を込めて。

【製作中】新潟県の鉄道車両メーカー「新潟鉄工」で製作されるASA101、201形。当時、流行していたステンレス車体になっておりイベント列車などに対応するため、それぞれ内装が違う仕様になっていた=1991年11月撮影
【ASA301】宍喰駅で発車を待つASA301形。導入からしばらく高千穂鉄道時代のままで走ったが、2010年3月から現在のラッピングになった=宍喰駅
【ヘッドマーク】開業から29年間、阿佐海岸鉄道の主力として活躍したASA101形に惜別のヘッドマークが掲げられた=宍喰駅
【開業】1992年3月26日、第三セクター・阿佐海岸鉄道が開業した。念願の鉄道開通に地元がわいた様子が真新しい車両とともに写真に記録されている=甲浦駅
【海を見下ろす】カーブを減らすため高架とトンネルが続き踏切も無い阿佐海岸鉄道の路線。海に沿う高架をASA101形が駆け抜けていく=海陽町の那佐湾
【回送】2009年8月、九州の高千穂鉄道から譲渡されたTR201形がフェリーと陸路で阿佐海岸鉄道に回送された。事故廃車になったASA201形の代替車両として活躍した=徳島市の徳島港