自身の浮世絵コレクションの一部を初公開する麻植さん=徳島市立木工会館

 赤穂浪士の討ち入り物語「忠臣蔵」を題材にした浮世絵を紹介する「浮世絵版画にみる『忠臣蔵の世界展』」が29日から、徳島市立木工会館で開かれる。美術品愛好家の麻植義憲(よしのり)さん(81)=小松島市南小松島町5=が長年収集してきた個人コレクションから、60点を初公開。歌舞伎や時代劇でおなじみの「忠臣蔵」の世界を、歌川国貞(くにさだ)、広重ら歌川派の絵師たちの逸品の数々を通して楽しめる。12月17日まで。

 歌川国貞「誠忠大星一代話(せいちゅうおおぼしいちだいばなし) 六」は、「仮名手本忠臣蔵」の大星(おおぼし)由良之助(ゆらのすけ)(大石内蔵助がモデル)を主人公にした連作の1枚。役者絵で名を上げた国貞らしい、臨場感あふれる大星の表情が一枚絵に物語性を与えている。浮世絵師としても有名な戯作者渓斎英泉(けいさいえいせん)が解説文を寄せている点も注目だ。

 風景画の名手歌川広重は連作「忠臣蔵」のうち4枚を紹介。吉良邸への討ち入りなどよく知られた場面の背景に、情緒豊かな風景を丹念に描き込み、自身の持ち味を発揮している。

 幕末から明治にかけて活躍した歌川房種(ふさたね)の連作「今様(いまよう)忠臣蔵」は、初段から十二段目まで全12作品を一堂に展示。松の廊下での刃傷から、赤穂城の明け渡し、討ち入り、主君の墓前への報告まで、浪士の運命を一連の物語として順を追って鑑賞できる。

 このほかにも、多様な浮世絵師が独自の趣向を凝らし、忠臣蔵の物語を色鮮やかに表現した作品が並ぶ。

 麻植さんは元中学校教諭。美術好きが高じて、20代から焼き物を中心に書画、浮世絵などを少しずつ買い集めてきた。美術品店から通信販売などで購入しており、浮世絵だけでも美人画や役者絵など約300点に及ぶ。

 徳島城博物館の森脇崇文学芸員は「これほど保存状態の良いコレクションは貴重。幕末期を代表する名だたる絵師の浮世絵が、十分にまとまった形で徳島で収蔵されたことが驚き」と話している。

 入場無料。午前9時~午後5時。問い合わせは市立木工会館<電088(626)2453>。