アカウミガメの産卵地として県の天然記念物に指定されている阿南市椿町の蒲生田海岸で今季の上陸数が7回(産卵1回)だったことが、市の調査で分かった。昨季のゼロから回復したものの、上陸数が2年連続で10回を下回るのは調査が始まった1954年以降で初めて。専門家は海岸周辺の街路灯の影響を指摘し「上陸数の低迷は深刻。原因究明へ調査が必要」と早期対応を求めている。

 蒲生田海岸は、世界で最も長期間のウミガメの上陸調査が行われていることで知られる。今季最初に上陸が確認されたのは6月7日で、3回目の上陸となった7月16日は産卵していた。その後4回上陸したものの産卵の形跡はなかった。

 市によると、上陸数が10回を割ったのは1999年の6回が初めて。2006年、11年、14年も1桁だったものの、翌年には2桁台に回復しており、不振が2年続くのは初めて。産卵数も13年が20回だったのに対し、14年は1回、15年は7回にとどまっている。

 美波町の日和佐うみがめ博物館カレッタによると、大浜海岸の今季の上陸数は27回(産卵17回)で、昨年の7回(2回)から大幅増。田中宇輝(ひろき)学芸員(31)は「蒲生田海岸は例年、大浜海岸と同じ傾向。今季も10回以上の上陸があってもおかしくない」と首をかしげる。

 5月に蒲生田海岸を訪れた日本ウミガメ協議会(大阪府枚方市)の松沢慶将会長(48)は「砂の量は十分で上陸・産卵に適している」と評価した上で、人工的な明かりが上陸数減少に影響を与えている可能性を指摘する。

 市によると、市内の防犯灯は12年度から蛍光灯から明るくて消費電力量が少ないLEDに切り替えており、海岸近くにある7基もLEDになっている。

 松沢会長は「ウミガメは明るい海岸を嫌う。近年の不振の一因に街路灯の影響が考えられる。色や明るさ、向きなどを変え経過を見る必要がある」と話す。

 これに対し、市文化振興課は「街路灯をどうするかは住民や担当課との協議が必要。現時点では海岸利用者へ注意を促す看板の更新や清掃活動に努めながら見守るしかない」としている。