神山町の最も奥に位置する上分地区は、山に囲まれ、小さな川がいくつも流れる自然豊かな場所だ。かつては林業が盛んで製材所や建設会社、飲食店が立ち並んだ。人口減少と高齢化が進むものの、老舗の飲食店は地域住民に親しまれ、オートキャンプ場には町外から人が訪れる。菜の花が咲き誇る棚田は新たな名所となった。のどかな雰囲気に包まれる中、自転車で駆け巡った。

 

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飲食店「ふなと」 住民に親しまれ100年

 国道193号沿いにある飲食店「ふなと」は、前身の店から数えると創業100年を超える。県産食材を使った料理は地域住民に評判だ。仕出しもしており、町内をはじめ徳島、美馬両市からも予約が入る。

飲食店「ふなと」を切り盛りする船戸さん(右)と繁代さん=神山町上分川又西

 山菜うどん(480円)やアメゴの塩焼き(500円)、にぎりずし5貫(同)などが人気。常連は日替わり定食(700円)を楽しみにしている。24畳の座敷の窓からは鮎喰川が望め、紅葉シーズンには絶景となる。

 船戸家は1912(大正元)年、自転車店として開業した。55年ごろに駄菓子やパンなどの販売を始め、75年ごろから飲食店となった。今は4代目店主の船戸武司さん(48)=徳島市八万町福万山=と母繁代さん=神山町上分=の2人が切り盛りしている。

 船戸さんは旧上分中学校(廃校)、名西高校と進み、兵庫、奈良、大阪、徳島各府県で日本料理の修業を積み、2000年に後を継いだ。「山菜をくれる近所の方がいたり、昼寝して帰る常連さんがいたり。くつろぎの場所になれているのがうれしい」と話す。

 「ここがなかったら困るけんな」。常連がこう話すと、船戸さんは「ありがたい。これからも店を守っていく」と応えた。

 準備が必要なため完全予約制。問い合わせは「ふなと」<電088(677)0069>。

せせらぎの里オートキャンプ場 川辺でゆったりと

 神通谷川のせせらぎを聞きながら楽しめる「せせらぎの里オートキャンプ場」。年中無休。1人1泊500円の手頃な価格で、季節を問わずキャンパーが訪れる。山あいでゆったりとした時間を過ごせるのが魅力となっている。

まきを割る森さん=神山町上分中津のせせらぎの里オートキャンプ場

 約20アールの敷地にはケヤキやエノキなどの木々が植わり、春には桜が咲き、秋には赤や黄に色付く。中州に渡るための赤い橋は自ら作った。最大で15~20組ほどが宿泊でき、日帰りの利用も1人200円で可能。たき火用のまきを用意し、1束500円で購入できる。

 オープンしたのは約20年前。近くに住む森健始郎さん(79)=上分=が草木が生い茂った荒れ地を見て「川辺の景色がもったいない。キャンプ場にして子どもを遊ばせられたらええだろうなあ」と思い付き、1年かけて造成した。

 今後は近くの神通発電所跡地までの歩道を整備し、散歩を楽しんでもらおうと計画している。

 10年ほど前に客足が落ち込んだものの、近年はキャンプブームの影響で盛り返しつつある。冬季に営業しているのも喜ばれており、「寂しくなっている地区が活気付くよう人を呼び込みたい。家にこもりがちの人はマイナスイオンを浴びに来て、リフレッシュしてもらえれば」と呼び掛けた。

 問い合わせは森さん<電088(677)1576>。