ワークショップで勤務環境の現状と改善策を話し合う医療施設の職員=9月、徳島市の看護会館

ワークショップで勤務環境の現状と改善策を話し合う医療施設の職員=9月、徳島市の看護会館

 徳島県看護協会が医療施設の勤務環境改善を支援する取り組みに力を入れている。看護現場の人手不足が叫ばれる中、働きやすい環境を整えて人材確保や看護の質の向上につなげようと、2011年から県の補助を受けて事業をスタート。これまでに11市町の15施設で改善に向けた行動計画を定め、看護職員の満足度向上などに成果を上げている。
 
 毎年、希望する施設を募って職員へのアンケートやワークショップを実施。残業、有給休暇の取得、業務の状況や職員の満足度などを把握した上で、参加者全員で議論して課題と解決策を整理し、改善計画を練る。計画策定後、各施設は職場環境改善に取り組んだ経験のある他施設の職員に助言を受けながら3年間、実践する。

 毎年3、4施設が参加しており、9月下旬に徳島市の県看護会館で行われた17年度のワークショップには4施設から計46人が集まった。「報告書提出などの事務に時間をとられ、看護業務に集中できない」「業務が縦割りで無駄がある」「休暇が取りづらい」「職員の68%が施設に大切にされていないと感じている」といった課題が出され、改善策を話し合った。

 徳島市の病院看護師長(55)は「看護師は忙しさから働く意義を見失いがち。継続的に改善に取り組み、本来のやりがいを取り戻したい」と話した。

 これまでに改善に取り組んだ施設では結果も出始めた。

 那賀町立上那賀病院では有給休暇の平均取得日数が11・1日から15・8日に増え、「看護職が大切にされている」とした職員の割合は25・9%から64・2%に上昇した。三好市の民間病院では看護職以外の部署との業務共有を進めた結果、時間外勤務の平均時間が月11・4時間から3・5時間へ減った。

 県内の看護職の求人倍率は16年度で2・7倍に上っている。県協会が事業を進める背景には、厳しい業務で意欲が減退したり、仕事と私生活との両立が難しくなったりして離職者が増え、勤務環境の悪化や人手不足がさらに深刻化することへの危機感がある。

 協会の担当者は「職場環境をよくすることが全ての薬。看護師に余裕が生まれることは患者にとってもプラスになる」としている。