いろんな人がいろんなことを語るたび、疑問符が増えていく。きのうもまた、もやもやに、またもやがかかるような、すっきりしないやりとりが続いた

 加計学園問題を巡る、衆参両院の予算委員会での参考人招致で、柳瀬唯夫元首相秘書官の答弁には、よどみがなかった。千日の稽古を鍛とし、万日の稽古を錬とす。すなわち鍛錬。さすが官僚、研さんの日々をほうふつとさせた

 記憶が事実としても-。獣医学部新設は「加計ありき」でなかったか。腹心の友が運営する学園の計画を知ったのは昨年という首相の主張は本当か。こうした疑問を拭えないばかりか、新たな疑問も浮かんでくる

 柳瀬氏は2015年の段階で3回、学園の関係者と会っていた。しかも国家戦略特区の関連で民間人と面会したのは、この3回だけという。秘書官は学園の意向を承知していたけれど、それから2年、首相は計画を知らなかった。そんなことがあり得るか

 首相の言うように、獣医学部開設まで一点の曇りもなかった。それが上での混乱だとしても―。明らかになった事実をつなげれば、十分に曇りのある筋書きが成り立つ。問題はそちらの方がむしろ、展開に無理がないように見えることだ

 否定する。新たな事実が出る。釈明する。別の事実が出る。いつまで果てしない物語を見続ければいいのか。