海鮮や肉料理、スイーツなど、複数の飲食店の料理を一度に楽しめる「徳島横丁」(仮称)が今秋、徳島市鷹匠町1にオープンする。全国で同様の施設を展開しているアスラボ(東京)が、店舗を整備して起業を目指す若者らの出店を募り、徳島の食材をふんだんに使った料理を提供する6店舗での開業を目指す。同市中心部では4月、徳島駅クレメントプラザの地下1階に飲食店街「徳島駅バル横丁」が一部オープンしており、にぎわいづくりに向けた動きが広がってきた。

アスラボが9月のオープンを目指して準備を進めている「徳島横丁(仮称)」の完成イメージ図(同社提供)

 現在は駐車場となっている場所に鉄骨平屋の建物(約250平方メートル)を整備する。建物内に6店舗が並び、客席はカウンター席とテーブル席を合わせて約120席。客は各店が共同で雇用するフロアスタッフに注文し、席を移動せずにどの店の料理も味わえる。会計もまとめて行う。

 横丁はコンセプトとして地方食材の発信と起業支援を掲げる。出店者は店舗に整備された厨房(ちゅうぼう)などを利用するため、開業資金に不安のある若者や女性、勤めの料理人らも起業しやすい。アスラボは出店者から契約金20万円と、施設利用料として月額売り上げの15%を徴収する。出店期間は最長で3年。

 10日からアスラボの専用サイトで出店者の募集を始めた。地元の食文化の発信や横丁の盛り上げにつながる提案をしてもらい、選考する。9月にもオープンさせる計画で、店舗の企画運営にはWrap建築設計事務所(徳島市)が協力する。

 アスラボの横丁出店は、甲府、宮崎両市と8月にオープンする鹿児島市に次いで4カ所目。全国に順次広げていく計画で、徳島は野菜の一大産地で、鳴門鯛(だい)や阿波尾鶏、スダチなど豊富な食材に恵まれていることから立地を決めたという。

 出店者のうち評判のいい店には、地元食材を広く発信してもらうため、東京に来年計画している横丁への出店も打診する。

 同社の片岡義隆社長は「徳島の食材の再発見や、にぎわいの創出につながれば」と話した。