サッカーJ2で首位の徳島ヴォルティスは16日、鳴門ポカリスエットスタジアムで大宮を1-0で下し、7年ぶり2度目のJ1昇格を決めた。前回、プレーオフを勝ち抜き初のJ1昇格を決めたのが7年前の2013年。当時の興奮を紙面(2013年12月9日付朝刊)で振り返る。

 

 J1昇格の最後の1枠を争うプレーオフ決勝は8日、東京・国立競技場で行われ、J2で4位の徳島ヴォルティスが3位の京都を2-0で破り、四国勢で初のJ1昇格を決めた。徳島は劣勢だった前半39分にCKを千代反田が合わせて先制し、同43分に津田が加点した。京都は序盤から何度も好機をつくったが決定力を欠き、4季ぶりのJ1復帰はならなかった。来季はG大阪、神戸、徳島がJ1に昇格し、湘南、磐田、大分がJ2に降格する。

[評]徳島は勝利が必要な一発勝負の決勝で自らのサッカーを貫いた。

 立ち上がりから攻め込む京都に流れを譲ったが、前半39分にアレックスのCKを千代反田がヘディングで決めて先制。主導権を奪うと、43分には藤原のロングボールを高崎が頭で前方へ送り、DF裏へ抜け出した津田が右足のワンタッチでゴールに放り込んだ。

 DF陣を軸にGK松井も後半19分の好セーブなど試合を通じて安定した守りを披露。13本のシュートを放った京都にゴールを割らせなかった。

 京都・大木監督 新しい一ページをつくろうと思ったができなかった。今季は終わるが、サッカーは続く。これをいい経験にして、次のシーズンも頑張れるようなサンガになってほしい。

充実感たっぷり

 「2年続けていい形で終われて良かった」と充実感たっぷりに話すのはMF大﨑。昨季はJ1広島で初優勝を経験し、今季は前線からの素早いプレスで徳島の昇格に貢献した。プレーオフ準決勝の千葉戦で足首を痛めたが、その影響を感じさせない精力的な走りを見せ京都の勢いを封じた。

 7日に広島がV2を決めた試合をホテルで見て「モチベーションが上がった」とほほ笑む。チーム3位の8得点と徳島で攻守に成長を遂げた21歳は、王者広島との対戦を心待ちにしていた。

県民に夢と希望

 J参入9年目で四国初のJ1クラブとなった徳島の新田社長は「地方のクラブでもJ1に行けるということで、徳島や四国の皆さんに夢と希望を感じてもらえることになったのでは」と語った。

 今季のホームゲームの1試合平均観客動員は4347人と目標の6000人を下回ったが、クラブとして子どもの体力強化や食育事業などに取り組み、裾野の拡大を図っている。集客増に加え「地元の子どもたちがヴォルティスでサッカーをやりたいとなればうれしい」と期待を込めた。

 中田強化部長は「試行錯誤しながらもやっていることが積み上がっているのは確かだった」と振り返った。チーム編成については、現在のチームが基盤となる方向性を示した。

流れ呼ぶ先制ヘッド

 このときを待った。狙って奪った。受け身にならず、しっかりとかかとを上げて苦しい時間帯を耐えた。シュート4本で2得点無失点。確実にチャンスを生かし、J1への扉を開けた。

前半39分、ヘディングで先制ゴールを決める徳島の千代反田(右)=国立競技場

 互いの特長がぶつかる好ゲーム。京都は高い位置でボールを奪い、保持する時間を少なくシュートに持ち込んでくる。しかしそれも想定内。守備ラインを落として相手を引き込めば、つなぎと裏狙いに格好のスペースが前方にできる。

 宮崎のドリブルでエリアを盛り返すと、横の展開に柴崎が絡む。アレックスが中央へ切れ込んで放ったクロスが呼び水となって奪ったCKは前半39分。弧を描いた球は、狙い澄ました千代反田がヘディングでネットを揺らした。「橋内と2人がポイントとなったことで相手マークが分散した。入りましたね」と笑みを浮かべた。

 43分にはエースが疾走する。裏へ飛び出した津田は背後から迫るDFより一瞬先に右足を入れ、2点目を決めた。後半はプレスが緩み、攻撃のギアも上がらなくなった京都に対し、徳島はボールを奪って素早く攻め込んだ。「よくやった。こんなに力を出すなんてびっくりした」。選手に胴上げされた小林監督が喜んだのは、選手が得意とする戦いを貫いたからにほかならない。

 ただ酸いも甘いも知る闘将。「喜ぶのはきょうだけ。J1は厳しい」との言葉は、長崎の実家が近い柴崎と同じものだった。歓喜の瞬間、主将の斉藤はまず古巣のチームメートに駆け寄り「京都の分も頑張るから」と声を掛けた。きょうは勝利が価値を持ち、あすを見据えれば課題が意味を持つ。ついに「さらば愛(いと)しきJ2」と言えたこの日が、四国代表として荒波へこぎ出す出発点となる。