「元気なうちに皆さまに感謝の気持ちをお伝えしたい」―。コマツ元社長で、東京徳島県人会元会長の安崎暁(さとる)氏(80)=横浜市=が、がんにかかったことを公表し、お世話になった人に「感謝の会」への参加を呼び掛けた新聞広告が反響を呼んでいる。11月20日付の徳島新聞朝刊などに掲載された。
延命治療を受けないことも明らかにし、インターネット上では人生の最期を考える「終活」の一つの在り方と受け止められている。
安崎氏は1995年から2001年までコマツ社長を務めた。その後、会長、相談役を歴任し、国家公安委員会委員にも就いた。引退後は講演活動などを行っていたが、今年の10月上旬にがんが見つかり、転移も多く手術はできないと診断されたという。
徳島新聞の広告では「残された時間をクオリティー・オブ・ライフ(人生の質)優先にしたく、副作用の可能性のある治療は受けないことにしました」と明かし「(感謝の会に)ご参加いただき、お会いできたら最大の喜びです」と記した。
小中学校時代を徳島県吉野川市で過ごした安崎氏は08年から4年間、東京徳島県人会長を務め、現在、同名誉会長。06年から10年間、吉野川市内の小中学校教員を海外に派遣する「海外教育見聞事業」に私費を投じるなど、古里への貢献活動にも取り組んできた。
感謝の会は12月11日にコマツ本社近くのANAインターコンチネンタルホテル東京で開く。大企業の元トップが生前にこうした会を催すのは珍しい。主催するのはコマツではなく安崎氏個人だという。